【日曜日の初耳学】俳優・田中圭さん×インタビュアー林修(2024年12月1日放送)

  1. ドラマ『おっさんずラブ』(2018年)で主演
    1. おっさんずラブチームは、ほぼ家族…もてなしていたら、銀行残高69円に
    2. 共演した林遣都さんから朝4時に電話がきてかけつけたが…
  2. 広い交友関係
    1. 小栗旬さんについて
    2. 岡田准一さんについて
    3. 石原さとみさんについて
    4. 中島健人さんが語る田中圭さんの人間力
      1. 2016年 初共演で1人で食べてるところ、話しかけてくれた初めての兄貴
      2. バラエティ番組『ゴチになります!』 「ケンティーらしく常にいて」とアドバイス
      3. ゴチになります!卒業後送られた田中圭さんからのLINE
      4. 田中圭さんが愛されるのは「人柄が良すぎるから」…誰1人置いてかない
  3. 遅咲きの苦労人田中圭のターニングポイントとなった3つの作品
    1. 作品① 人気俳優が出演していたドラマ『WATER BOYS』(2003年)(主演:山田孝之)
      1. 山田孝之、森山未來、永山瑛太、星野源らと共演…彼らの影響を受け、きつかった練習でオールアップは泣いた
      2. もともと泳げなかった…撮影前1か月+撮影中週1で練習
      3. 偏差値70超えの学校から芸能の世界へ…この作品で「役者の道で行こう!」と決めた
    2. 作品② 国民的医療ドラマ『ドクターX』(2012年)(主演:米倉涼子)
      1. 『WATER BOYS』出演後もバイトをする日々…パチンコ屋&ティッシュ配り
      2. 主演の米倉涼子さんに「頑張る人の成果を見せてもらった」
      3. 西田敏行さんから学んだ「アドリブ力」
    3. 作品③ 大ヒット主演ドラマ『おっさんずラブ』(2018年)
      1. 半分ぐらいはアドリブ…その場で生まれる感情を大事にしたい
      2. 『おっさんずラブ』の後荒れた感情…売れればいいのか!今までの俺は何だったのか?
  4. 人生の恩師母親からの教え
    1. 母が芸能のオーディションを勧めてくれた…人生の指針を失い腐りかけていた
    2. 母は口うるさい人でケンカばかり…だけど、愛情を感じた「おかえり」の笑顔
    3. 天国に行った母…『おっさんずラブ』を見せられず
    4. 亡き母の親友が語る母としての愛情
      1. 田中圭さん亡き母の親友・欣子さんからの手紙
  5. 最後に…「楽しむこと」を大切に

ドラマ『おっさんずラブ』(2018年)で主演

香港・タイなどでもリメイクされたドラマ「おっさんずラブ」で主演。

 

おっさんずラブチームは、ほぼ家族…もてなしていたら、銀行残高69円に

林修
「まあ、やはり世間を一番にぎわせたのが2018年の主演ドラマ『おっさんずラブ』。
あれ、すごかったですよね?」

田中圭
「すごいことになりましたね、はい。
もう自分の人生において、なんか大事な作品にもなりましたし。
おっさんずラブチームとはいまだにあのみんな仲いいので。
まあ、ほぼ…ほぼ家族。まあ、親戚ぐらいの感覚はあるんで」

林修「その『おっさんずラブ』の時に、すごくもてなしたって聞いたんですが」

田中圭
「1の時は、ホントにみんなでご飯行ったり、お酒飲み行ったりして。
まあ、当たり前にお金がかかるわけじゃないですか。
それを全部出してたら、まあ若干破産したぐらいですね」

林修「残高69円!?」

田中圭「そうですね。1の時はそんぐらいいきましたね」

 

共演した林遣都さんから朝4時に電話がきてかけつけたが…

男性同士の三角関係を描いた『おっさんずラブ』。
その作中で、田中圭演じる主人公春田と林遣都演じる(会社の後輩)牧が結ばれたのだが、実は撮影期間中、プライベートでも林遣都とラブラブだったという。

林修「もう撮影以外でも、ずっとずいぶん愛された面があるというお話も聞いたんですけれども」

田中圭
「そうっすね。彼が、朝4時ぐらいかなぁ。電話とか連絡がきて。
「どうしても話したいです」。
で、「いやいやいや。4時やん」。
今日じゃなきゃ駄目なのか?みたいので。
「いや、行かないわ」みたいな感じになるじゃないですか。

そしたら、ちょっと様子が違う感じで。
「いや、どうしても今圭くんと話したくて。ああだこうだ…」みたいなちょっと熱い感じだったんですよ。
まあ、なんかあったのかなと思って、会いに行ったんですよ、4時過ぎに」

林修「すごいですね。僕なら絶対行かないですけどね」

田中圭
「まあ、(朝)4時!?と思いつつも、まあ行ったんですよ。
行ったら行ったで、ほんっっとにただただ、飲んでて寂しくなって呼んだだけなんすよ(笑)
もうそっからは、あいつのそういう連絡は基本無視です」

 

 

広い交友関係

田中圭さん交友関係
旧友…石原さとみ
弟…山田涼介、林遣都
家族ぐるみの仲…元力士・豊ノ島
尊敬…吉田鋼太郎、米倉涼子、岡田准一
家族ぐるみの仲…豊ノ島
特別な存在…小栗旬(41歳)

 

小栗旬さんについて

田中圭
「目の上のたんこぶっすね。
旬くんも僕も仕事がないっていったら、ちょっと語弊がありますけど。
本当に昔からいろんな話をしてきているので。
最近だとでもやっぱ事務所のことが多いですね。
やっぱ社長になられて(現在、小栗旬さんは所属事務所の社長)」

 

岡田准一さんについて

田中圭
「岡田(准一)さんと米倉(涼子)さんと小栗(旬)さん。
この3人は、もう僕のずっと尊敬・カッコいい3人。もう、三大巨頭っすね。
もうずーっと若い時から。
岡田君も岡田君ですごく背中で見せるというか」

(岡田准一さんとは映画「図書館戦争」、大河ドラマ「軍師官兵衛」で共演)

 

石原さとみさんについて

10代の頃からの旧友。電話で悩み相談をする

 

中島健人さんが語る田中圭さんの人間力

自称・田中圭さんの芸能界一の親友だ!と言う中島健人さんが田中圭さんインタビューの場にサプライズ登場。2人の共演は「ゴチになります!」以来、6年ぶり

中島健人「ていうか、いろんなところに弟作りすぎ。ホントに」(田中圭爆笑)

2人の出会いは今から8年前2016年放送のドラマ『ガードセンター24』での共演。
当時田中圭32歳。中島健人22歳。
そこで、田中圭さんがなぜ人から愛されるのか。その人間力を垣間見たといいます。

 

2016年 初共演で1人で食べてるところ、話しかけてくれた初めての兄貴

中島健人
「(ドラマ『ガードセンター24』の共演者は)上川隆也さんだったりとか。
栗山千明さんだったり、ケンドーコバヤシさんだったり、中村梅雀さんだったり。
そうそうたるメンバー。

スタジオの中でご飯食べてても、やっぱりみんなベテランだから。
1人ぼっちで食べてたんですよ。

そん時に、圭兄が後ろから「おい」みたいな。
「一緒にメシ食うべ?」って言ってきてくれて
で、それで圭兄が話しかけてきてくれて。
なんかこう近況とか聞いてきてくれた、初めての兄貴だった」

田中圭
「いや僕はあの、ご飯食べたの覚えてるんですけど。
まあ、主演としてちゃんと立ってなきゃいけなくて。
でも、年齢も若いし。
なんかやっぱ常に「ちゃんとしなきゃ」みたいな感じでいる人だから。

肩揉んでやろうかなぐらいの
ほぐれたらいいなぐらいの感じで、「ご飯いっしょにたべよう」ぐらいの感じだったと思うんですけど。

俺が思ってる以上に、ケンティーに刺さってくれてたってことだもんね?」

中島健人
「俺には刺さってましたよ。圭兄にとってワン・オブ・ゼムだったかもしれないけど」

田中圭「いや、そんなことはないよ。そういうことでもないし」

 

バラエティ番組『ゴチになります!』 「ケンティーらしく常にいて」とアドバイス

中島健人
「で、ご飯食べる番組(=ゴチになります!)でレギュラーだったんですけど。
まあ、岡村(隆史)さんもしかり。
その(千鳥)ノブさんだったりとか、土屋太鳳ちゃんだったりとか。
こうそうそうたる面々がいたから。
そん中でどう自分を出すかって悩んでた時期があったんだけど。

あれ、なんか自分らしさでないなって時に、なんかずっと圭兄が「いやいや。もうホントにケンティーはケンティーらしく常にいてよ」って。
「なんかケンティーがあんま考えすぎちゃったら、もうそこでもうバラエティー止まっちゃうから」みたいな」

林修「バラエティーのアドバイスもなさってた?」

(首をかしげる田中圭さん)

田中圭
「俺からすると、何を悩んでんだろうっていう。
いや、メチャメチャあんたらしさ出とるやんと。
そんな悩むとこじゃないんじゃない?っていう感じです。
だから、それぐらいの話なんですけど(笑)」

中島健人「いやいや、違う。俺にとっては一大事だったの」

林修
「なるほど。そんな貴重な存在だった田中さんと「ゴチ(になります!)」でお別れの時を迎えたわけじゃないですか。
実はその時の映像をお借りしましたのでご覧ください」

2019年ぐるナイの「ゴチになります!」でクビになることが決定した中島健人さん。
大好きな田中圭さんと別れることになった中島健人さんの生放送で流れてしまった感情丸出し映像。
今生の別れを惜しむかのような大号泣…

田中圭「この世の終わりだみたいな映像ですよね。(爆笑)いや、そんなことはないのよ!みたいな」

 

ゴチになります!卒業後送られた田中圭さんからのLINE

林修「ケンティーが(『ゴチになります!』)卒業後に、田中さんがケンティーに送ったメッセージがあるんですよね?」

中島健人「そう、あるんです」

★田中圭さんが中島健人さんに送ったLINEメッセージ★

『ケンティー。お疲れさまー。すっげー楽しかったよ。
ケンティーから見習うとこいっぱいあった。
早くまた共演しようね。本当に寂しい。
でも、マジでケンティーの旅立ちやな。
当たり前にどっからでも応援してるわ!!
だからとりあえずいつでも飯行こう。奢っちゃる。』

『来年は2人の分まで俺はゴチで暴れてやる。と決めた。任せとけーい。
責任から解放されて、更にスーパースターになってくれるだろうから、不安は何もないけど。
とりあえず、寂しい。
でもでも、これからも宜しくね。本当にお疲れ様でした!』

 

林修「ね、これケンティー何回も読み直した?」

中島健人「何回も読み直しました。もう、すごく嬉しくて」

 

田中圭さんが愛されるのは「人柄が良すぎるから」…誰1人置いてかない

林修「ケンティーから見て、改めて田中さんがこんな風に多くの人に愛されるポイントっていうのはどこだと思いますか?」

中島健人
「うーん…やっぱりこう、人柄が良すぎる所じゃないですか。

例えばご飯会の時とか、大勢いても。誰一人置いてかない
でも俺は結構、そういう大勢の会とか、結構1人ぼっちになっちゃうタイプなんすけど。
そこを圭兄がくみとって、「お前何やってんだよ」みたいな。

だから、誰も置いてかない所が皆さんから愛される所なんだなっていう風に思ってます」

林修「まあでも、そういう風にお気遣いされると、当然各地に弟が増えていきますよね」

中島健人「いや、ホントに。弟製造ニキだよね。マジで」(田中圭爆笑)

田中圭「そう?ほんと?」

中島健人
「いや、ほんとさ。なんか山田(涼介)くんとの2ショットとか送られてきたときに、俺ムキーってとなりました。
なに?どういうプレイなの?みたいな。
スマホもうこう投げようと思ったもんね。
どういうこと、これ?」(笑)

田中圭「いや、今度(深澤)辰也とご飯行くよ」

中島健人
「ふっかでしょ?それさ、ドラマで。何か一緒にやって。
俺もメイキング見て、仲良さそうだなと思って、ちょっと嫉妬したよ」(笑)

 

誰も置いていかないという心配りができるからこそ、田中圭はこれほどまでに愛されるのだ。

多くの人に愛される田中圭の人間性を育んだのは、1人親として愛情を注いでくれた母の存在。
しかし、その最愛の人に自身の代表作『おっさんずラブ』を見せることはできなかった。

 

遅咲きの苦労人田中圭のターニングポイントとなった3つの作品

作品① 人気俳優が出演していたドラマ『WATER BOYS』(2003年)(主演:山田孝之)

15歳で芸能活動を始めた田中圭さんは、すぐに運命を変える作品と出会います。
山田孝之、森山未來、永山瑛太、星野源など若き日の俳優たちと切磋琢磨したドラマ。
田中圭さんは山田孝之演じる主人公の親友役に抜擢されました。

 

山田孝之、森山未來、永山瑛太、星野源らと共演…彼らの影響を受け、きつかった練習でオールアップは泣いた

林修「その同世代同士の影響っていうのもあったんですか?」

田中圭
「ありましたね。なんか『WATER BOYS』はWATER BOYSで自分が初めてレギュラーでやらせていただいた作品だったし。
で、みんなずーっと役者を目指して真剣にやってる人たち

僕は今までそのガッツリやったこともないし。
周りのみんながどう考えてるかとか。今後を見据えてるかとか。

それこそ主役の山田孝之とかはメチャメチャ影響を受けたし。
あと、なによりシンクロの練習がシンプルにきつかったし。
あれは…オールアップ泣きましたね」

 

もともと泳げなかった…撮影前1か月+撮影中週1で練習

林修「どのくらいきつかったんですか?」

田中圭
1か月トレーニングしたんですよ。あの、撮影入る前に。1か月トレーニングして。
で、僕もともと泳げなかったところからのスタートだったんで。すっごいきつくて。
で、撮影入ったら、週1で練習があって。っていう、まあ熱い夏を過ごさせていただきましたね」

林修「で、星野源さんと2人で練習されたんですか?」

田中圭
「あーあの、みんなで練習するんすけど。
源ちゃんと僕は、「じゃあ、休憩します」ってなって。
「再開します」ってみんなが入る時に、だいたい一番最後にプール入るのが、俺か源ちゃんだったんすよ。
チョットでも入りたくないっていう(笑)」

林修「逆に率先してプール入ってたのは誰ですか?」

田中圭
「(森山)未來とか。Mr.ストイック。はい。
僕はもうホントになるべく、もうもうこのプールの水今すぐなくなればいいと思ってました(笑)」

 

偏差値70超えの学校から芸能の世界へ…この作品で「役者の道で行こう!」と決めた

林修「『WATER BOYS』って田中さんにとってどういう作品ですかね?」

田中圭
これから俳優として進んでみようかなと思わせてくれた作品ですね。
もともと、学生の時に。
僕、すごく素敵な学校に行ってしまいまして。
(※渋谷教育学園幕張中学校・高等学校偏差値70超えの名門私立一貫校)

で、みんなこう受験…大学行くのが当たり前みたいな中で。
で、僕結構早めにドロップアウトしてたので。

「うわ、うわ、大学とかうわ。マジ?勉強しんど~」みたいな時に、たまたまこの芸能のところに片足突っこんだもんだから。

「そうだ」と。「これを機に、俺は芸能に向かうんだ!って言えば受験しなくて済む」みたいな。
そんな感じで、最初浸かってたんですよ。

でもまあ、『WATER BOYS』で、やっぱ楽しかったし。
みんなとものを作るのも、お芝居をするのも楽しかったし。
「役者でやっぱりやってみよう」って思った最初のきっかけですね」

 

作品② 国民的医療ドラマ『ドクターX』(2012年)(主演:米倉涼子)

『WATER BOYS』出演後もバイトをする日々…パチンコ屋&ティッシュ配り

クランクアップするころには、田中圭の心境にも変化が。
役者の世界で生き抜くことを決めた瞬間だった。
しかし、その後出演できた作品は…

2004年「世界の中心で、愛を叫ぶ」(山田孝之主演) ヒロインの同級生役
2004年「オレンジデイズ」(永山瑛太出演) 第8話ゲスト出演
2007年「花より男子2」 端役として出演

大きな爪痕は残せず、デビュー後もバイトを続ける不遇の時代を過ごした。

林修「バイトは何をなさってたんですか?」

田中圭
「色々やってましたね。
一番多かったのは、パチンコ屋さんとあとティッシュ配りとかですね。
ティッシュ配ってる時に、「ああどうぞ」とか言うと、「握手してください」だったりとか」

 

主演の米倉涼子さんに「頑張る人の成果を見せてもらった」

林修
「ドラマに出てるってことを知ってる人から「ああ!」って。
じゃあ、何をきっかけにこう安定的にオファーが来るようになったんですかね?」

田中圭
「初めて、えっとテレビ誌の表紙をさせていただいた時は、米倉(涼子)さんと一緒…2人で表紙させていただいたんですけど。『ドクターX』だったんですよ」

28歳で出演。2012年放送の「ドクターX」第1シーズンに新人外科医役として大抜擢。
共演した偉大な先輩…米倉涼子、西田敏行に多大な影響を受けたという。

 

林修「やはり、米倉涼子さんと共演されて、何か影響を受ける部分はありましたか?」

田中圭
「その時ちょうどドクターXが始まる直前だったのかな?
あの、姉さんがCHICAGOの初演をやってた時とかで。
(※CHICAGO:ブロードウェイの大ヒットミュージカル。2012年アジア人初の初演に抜擢)

で、なんかドキュメンタリーとかを見てて。
すごい喋れない所から頑張ってたりとか。踊りだったりとか。
とにかくその頑張ってる人の成果がこれかっていう舞台を見て、やっぱり圧巻だったんですよ。
ああ、すごいカッコいいなって思ってたら、やっぱドクターXって作品がどんどんどんどん大きくなってって」

 

西田敏行さんから学んだ「アドリブ力」

そして、今年(2024年)10月に他界した西田敏行さんには、役者として大事なことを教わっていた。
実はそれが、後にあの話題作『おっさんずラブ』にもつながる大切な経験となる。

 

林修
「まあ、米倉(涼子)さんをはじめとして、ドクターXにでてらっしゃった方、
もう何人もここに出てくださったんですけれども。
まあ、皆さん西田(敏行)さんのアドリブには翻弄されたというのが。
田中さんはそこはどうだったんですか?」

田中圭
「でもよくその、エンケンさん(=遠藤憲一さん)とかもそうですけど。
俺だったら絶対笑っちゃうっていうのをすごい我慢できてる。
で、僕とかは対面してる時にガッツリ言われることがあんまなくて。

みんなでいる時に、おっしゃる時とか。
僕多分普通にこうやって下向いて笑ってるんすよ。

なんか西田さんの圧倒的な存在感と。でもすごく優しいみたいな。
うーん、そういうすごい素敵な方だったので。
まあ、やっぱり、めちゃくちゃ寂しかったし、悲しいし。

西田さんの…最後に、この距離で一緒にいれたっていうのは、すごく幸せ…っていうか嬉しいし。
なんか自分もケツ叩かれてるというか。
ちゃんとしなきゃなっていう気にはやっぱなりましたけど」

ドクターXのアドリブが飛び交う撮影現場をシーズン1から6年間にわたり見続けた経験が、後に田中圭の代表作『おっさんずラブ』に生かされることになる。

 

作品③ 大ヒット主演ドラマ『おっさんずラブ』(2018年)

半分ぐらいはアドリブ…その場で生まれる感情を大事にしたい

林修
すごくアドリブが多いドラマだっていう風にも聞いたんですけれども。そうだったんですか?」

田中圭
「そうっすね。まあ、何をもってアドリブとするかってムズイ。
まあ、台本に書いてないセリフや。
じゃあ、台本に書かれてない動き、台本のト書きと違うことをしてるっていうのがもしアドリブになるのだとすれば、『おっさんずラブ』は半分ぐらいはアドリブになりますし」

林修「そんなに多いんですか?」

田中圭
「はい。まあ、これは僕が林遣都くんと最初おっさんずラブシーズン1の時に、僕がそういう現場にしたかったっていう思いを伝えたんですけど。

自分には与えられたセリフがあるじゃないですか。
じゃあ、台本上、これ(=黄色い葉っぱ)は赤だよねっていうセリフがあった時に。
なんか、これ(=赤い葉っぱ)渡されたら、「赤だよね」って言えるじゃないですか。
でもこれ(=黄色い葉っぱ)を渡されると、赤でもねぇってなるじゃないですか。
人によって、これ(=黄色い葉っぱ)に対する言葉が変わってくるじゃないですか。

そういう感覚になったら、「台本のセリフ通り言わなくていいから、思ったこと言って」っていうのを言ったんですよ。

その場で生まれてくる感情を大事にしたい
あくまでも、台本っていうすごく素敵な地図を僕らの前に広げてくれてるから。
それぞれの役で暴れる分にはいいじゃないっていうので。
常に生のライブみたいな。

だからめちゃくちゃ集中力必要だったし。メチャクチャ疲れるんすよ、毎回毎回」

 

『おっさんずラブ』の後荒れた感情…売れればいいのか!今までの俺は何だったのか?

田中圭
「僕的にはちょっと…ちょっとそのー…話が一瞬変わってもいいですか?

何か分かんないっすけど、『おっさんずラブ』の後って、僕すごく荒れてたんですよ。
うちの事務所って、小栗旬くんがいて。
小栗旬くんがこうパーンて、もうホント一躍トップスターみたいになっちゃったので。
なんか元々は俳優たるものを育成しようみたいな事務所だったから」

 

33歳にして田中圭は2018年のブレイク俳優ランキングで第1位となった。

※2位平野紫耀 3位中村倫也 4位志尊淳 5位吉沢亮

しかしその一方で、同じ事務所の先輩で若い頃から切磋琢磨してきた小栗旬は…。

22歳の時に、ドラマ「花より男子」の花沢類役。
24歳の時に映画「クローズZERO」で主演に抜擢されるなど瞬く間にトップスターとなった。

 

田中圭
『おっさんずラブ』前も、俳優としては成立してたんですよね。
例えばそれじゃあ、バイト辞めれたりとか。じゃあ、家族養ってたりとか。
まあ、普通に生活はできてたんですよ。

でもずーっとなんか旬くんがドーンってなってから、ブレイクしなきゃ意味がないみたいな。
なんか、売れることが目的だみたいな感じ…。
要するに、第2の小栗を探せじゃないですけど。
まあ、そりゃあそうなるよなっていう分かりやすい流れの中で。

まあずーっと。まあ良いも悪いも…なんかこう、「鳴かず飛ばずだね」とか言われたりする時もあって」

田中圭さんにとって、先輩小栗旬の存在がプレッシャーになっていました。

田中圭
「でまあ、そんな中で『おっさんずラブ』があって。
ホントにボーンって環境が変わっちゃった時に。すごく荒れて
なんか「ようやく売れたな」じゃないけど。
「おめでとう」とか…なんか。

僕自身、嬉しくないわけじゃないですけど、なんかあまりにも言われすぎて。

え?じゃあ、俺の今まで何だったんだよ」じゃないですけど。

で、あと、(おっさんずラブ主人公)春田っていう役のおかげもあって。
こう街歩いてても、ものすごく好感度が高かったんですよ」

林修「いいじゃないですか」

田中圭
「もうそれに、「俺そんなんじゃねぇし!」って言いたくなっちゃうぐらい。
なんかもう…な、なんか売れりゃあいいんかい!みたいな感じでちょっと病んでた時期がありまして。
でもまあ、『あなたの番です』(2019年放送)っていう作品もヒットしてくれたおかげで。
なんか自分の中で、そこに自分が引っ張られなくていいやって思えたきっかけをくれて」

林修「なんかそこはまた過剰に呪縛があったけれども、そこが少し普通の状態にもどられて」

田中圭
「なんか普通にこれからも俳優やってていいんだなじゃないですけど。
ちょっと浄化してくれたっていうのはあったんすよね」

林修
「いやほんと、あれ(=あなたの番です)も大人気ドラマになって。
それはホントに田中さんにとって素晴らしいことだったんでしょうけど。
この番組にとっては真裏だったので」(笑)

田中圭「すみません すみません」

 

ミステリードラマ『あなたの番です』(2019年放送)はSNSで世界トレンド1位になるなど大きな話題となり、もう一つの代表作となった。

この作品で『おっさんずラブ』の春田という強烈なイメージから脱却し、田中圭は俳優として次のステージへ歩みだすことができたのだ。

 

 

人生の恩師母親からの教え

母が芸能のオーディションを勧めてくれた…人生の指針を失い腐りかけていた

幼い頃に両親が離婚し、ひとり親家庭で育ってきた田中圭。
勉強、スポーツ共に優秀な少年で、母の期待を背負って入学した進学校
しかし、授業について行けず、さらに長年続けていたバスケもケガで断念
目標を失い、心も腐りかけた暗黒期から救い出してくれたのは、母の一言だった。

田中圭
何もなくなった1年…まあ、1年弱かな…があって。
その時に、まあ見かねた母が、この芸能のオーディションを
で、そこってやっぱり、まあウチの母がもともとそういうもの(=芸能界)を一時期こう目指してたというか。
一時期、一時期ちょっとかじってたのもありまして。
前に目標を持って進んでる人たちとか、自分のやりたいことを夢見てる人たちの中に入ってきて欲しいっていう思いで」

林修
「じゃあ、その学校の様子とかを見て、お母さんがこっちの道はどう?って用意してくださったのが、もうホントに大きな人生の転機だったんですね」

田中圭
「メチャメチャそうです、はい。
まあ、それきっかけで僕も自分自身がやりたいこととか目標みたいなものを持てるような人生に変わったので。まあ、感謝はしてますけど」

 

母は口うるさい人でケンカばかり…だけど、愛情を感じた「おかえり」の笑顔

林修「お母様はどんな方だったんですか?」

田中圭「うーん………うるさかったですね」

林修「まあまあ、それは愛情もあってのことですよね」

田中圭「はい」

林修「小さい時の印象的なエピソードとかおありですか?」

田中圭
「………ケンカばっかりだったからなぁー…。
でも、なんか…僕も一人っ子で。でまあ、男の子で、部活やったりとか。

しかも、高校入ってくると、今度バイトとかも始まって。
で、いっつもなんかこう「何してんだ!ああだこうだ」とか言ってたんだけど。

なんか夜家帰ると、バイト終わって帰ったりすると、やっぱ1番最初にすっごいこう「おかえり」ってなんかめっちゃ嬉しそうな顔するんすよ。
それはやっぱ覚えてますね。
あ、やっぱ帰ってくると嬉しいんだなみたいな」

 

天国に行った母…『おっさんずラブ』を見せられず

母の勧めでスタートした芸能生活。
WATER BOYSやドクターXなど時間はかかったが、着実にキャリアを重ねてきた。
しかし、19年目で掴んだ代表作ドラマ『おっさんずラブ』(2018年)を最愛の母に見せることはできなかった。
闘病中だった母が、『おっさんずラブ』放送3か月前に天国に旅立ってしまったのだ。

 

田中圭
「そうっすねー。だから、それだけが…おっさんずラブのホントちょうど前だったので。はい。
それだけはまあちょっと…。まあ、でもどうしようもないんでね。どうしようもないっすけど、はい」

林修「でも最後に何かお話はきちんとされたんですか?」

田中圭
「…いや、全然。あのー…母ちゃんもまあ闘病中だったんすけど。
全然その「絶対負けない」って最後まで病気と闘う姿勢だったから。

で、「次おっさんずラブって作品やるから」って。もうそれも決まってたので。
まあ、その笑うとなんか病気に良いじゃないですけど。
まあ、コメディー大好きだから。「楽しみに待っててね」ぐらいの感じだったんですけど。
まあちょっと見せれてないので。うん。

まあそれはまあなんか…確かにでも…うん、そうっすね。まあ、それぐらいっすかね。うん」

 

亡き母の親友が語る母としての愛情

実は今回、母が亡くなる前、息子に抱いていた思いを母の親友である欣子(きんこ)さんから教えていただいた。

その手紙には、田中圭本人も知り得なかた母の愛情を物語るエピソードがあった。

 

田中圭さん亡き母の親友・欣子さんからの手紙

『圭ママは圭くんの一番のファンで。

俳優として頑張っている姿、全ての作品を観て、観劇中はいつも大きな拍手と笑い声…。

すごく愛情深い人と感じた瞬間でした。

彼女が闘病中はとにかく圭くんが出演する番組を全部録画してくまなく見ている姿をみていました。

具合が悪い時でも、「無理しない方がいいよ」と言っても、「圭の番組があるから観る」と言って、番組を観ながら、「この圭カッコいい!演技も素晴らしい!」「圭を見ていると元気が出る!」。

本当にうれしそうで、穏やかな表情でした。

病状が悪化して集中治療室に入った時、圭くんは台本を持って駆けつけていました。

2018年1月15日。涙するあなたの姿忘れられません。

今でも「母ちゃん 母ちゃん」と言っている圭くんを見ていると、ほっこりするけれど、正直胸が痛くなる時があります。

お母様が亡くなった後、毎回舞台やテレビを見る時は、圭くんの活躍を伝えたい一心で、必ず圭ママの写真とともに見ています。

今の活躍を時には写真に語り、お墓参りに行った際には、YouTubeで圭くんの歌を流し、色々なお話をしてきます。

とても嬉しいことは舞台の後にパンフレットにサインをいただく際、私へのメッセージとは別に一言「母ちゃんに届く様…これからも頑張ります!」とお母様へのお気持ちを一言添えてくれること。(実際のパンフレットには「欣子さんへ いつもありがとです!母ちゃんに届く様これからも頑張ります」とサインと共にメッセージが書いてある)

今では俳優として欠かせない存在となり、親友の息子がとても誇らしいです。
この素敵なご縁を大切に!!
健康を第一に健やかにお過ごしください

欣子 』

 

田中圭「ありがとうございます」

林修「ああやってメッセージを欣子さんだけじゃなくて、お母様にもああやって入れたものを差し上げるんですね?」

田中圭
「やっぱり自分自身、メチャメチャケンカもしてたし。

まあでも最終的には、仲はいいというか…ケンカするほど仲がいいじゃないですけど、なんか、なんだかんだ言って別に仲はいい親子だったんですけど。

まあ、お金の苦労もかけてたし。

うーん…何ていうのかな。
なんか今だったら、ねえ、お母ちゃんに仕送りあげれたりとか。
なんかもっとすごくこう近くに住みたいとかね。なんか色々そういうのもあったし。

今だったらもうそれもしてあげられるし、なんか…ちょっと早ぇよとはどうしても思いますけど、うん。

まあでも1個…ずっと思ってるんすけど…。
なんか変な言い方なんすけど、こう母親が他界してからの方が、なんかずっと一緒にいる気になってるんですよね、なんか」

林修
「このお二方へのメッセージの書き方見てると。やっぱり、食事会でポツンとしている人には声をかける人だなっていうのがよく分かりますね。
そこにいる全体をちゃんと見て、気づかいされてっていうのがよく分かりますもんね」

多くの人に愛され、慕われる田中圭。
その人柄を作ったのは、息子圭に惜しみない愛情を注いだ母の存在なのだろう。

 

最後に…「楽しむこと」を大切に

林修「最後に。仕事をする上で大切になさっていることを教えていただけますか?」

田中圭
「仕事をする上で大切にしている事ですか?
・・・・・・・・・・・・・・(長い沈黙)ムズッ。
一言で言うのムズぅ。(笑)

でも、基本的には、「楽しむこと」だと思います。

あの、30代は特に楽しもうと思ってたし。
まあなんで楽しむって言うと。
僕らの仕事って、朝早いし、夜遅いし、セリフ覚えなきゃいけないし、作品に対して好き嫌い言われるし。

でもじゃあなんでこの仕事してんのかなって言うと、やっぱ好きだからだと思っていて。

好きだからこの仕事をやってる限りは、やっぱ自分自身も周りも、みんなが楽しくないともったいなくない?っていう風には思うんで。

今はそうっすね。
だから、自分が母ちゃんに出来なかった分、なんかみんなで楽しんで。

この1つの作品を作ってる時は、「この作品楽しかったな」って。
またやりたいなって思えるチームだったり、作品だったり。
で、それが今度見てる人たちに、作品楽しいなとかいうのが伝わればいいと思ってるから。

母ちゃんはなんで私じゃないのよ!って絶対言うタイプなんですよ。
でも、母ちゃんに出来なかった分、なんか自分ができることはできたらいいなあとは思ってます」

母が出会わせてくれた役者という仕事。この仕事、子の人生を母の分まで楽しみつくす。
それが母への何よりの恩返しだと信じて

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