15歳でデビューするまで
心配した母の勧めでアメリカへ…これが俳優を志すきっかけに
満島真之介「萩原さん何歳デビューですか?」
萩原聖人「15(歳)」
満島真之介「うわ、はやっ!」
兼近大樹「え、何きっかけで?」
萩原聖人
「俺はねぇ、もう本当になんかこう学生時代というか夢とか全然なくって。
もう親父は亡くなってる状況で。
で、母親がこのままではこの子はまずいんじゃないかっていうことで、なんか刺激をうけさせようってことで、「海外旅行あなた行きなさいよ」みたいな。
でも、別に行きたいとこもないし、何もないけど…じゃあ、とりあえずアメリカかな?みたいな(笑)感じで。
中学の夏休み約まあ2か月くらいかな。なんかロスから…」
満島真之介「え!そんな行ったんすか?」
萩原聖人
「そう。ロスからサンフランシスコ行って、ベガス行ってみたいな。
もう本当にこう回って。
そこでね、なんか映画を観に行ったんだよね。
「エイリアン2」がこう日本に来る前だったから。
映画好きの友達に観て、ちょっと話してやろうみたいな感じで観に行った時に、最後にさ、終わった後、お客さんがもうすごかったのよ、もう。
立ち上がって」
兼近大樹「スタンディングオベーション」
満島真之介「え⁉普通の映画館っすよね?」
萩原聖人
「映画館で。で、それがね、結構カルチャーショックで。
そこに俳優さんはいないのに、スクリーンの中にいる俳優さんに向かってみんながこう「うわー!」ってなってんのが。
なんか初めて受けたこう感動というかね。
「これが夢を売る仕事か」みたいに思って。
で、その旅行終わって日本帰った時に、「俳優やる」って思ったのがきっかけです」
兼近大樹「それで15(歳)からなんすね」
満島真之介「すげぇ!」
母の居酒屋に来た制作会社の偉い人…渡されたのは「あぶない刑事」の台本
兼近大樹「え、劇団に入るんすか?じゃあすぐ」
萩原聖人
「いや、それが…これは運なんだけど。
もうその運で俺の運すべて使い果たしたんじゃないかと思うような出来事があって。
まあ母が新宿で居酒屋を経営してたんだけど。
で、俺はそこで手伝いをしてたの。バイトっていうかこう。
で、そん時当時ですね、「ビー・バップ・ハイスクール」ってメチャ流行ってたわけですよ。
そしたらその母が経営してる居酒屋に、その制作会社の偉い人たちがお客さんで来てて。
ウチのお袋が、「まあ、もうこの子がね、もうビー・バップ出たいって言ってんのよ」みたいなノリで紹介してくれたわけ。
そしたら、もうその当時…もう亡くなっちゃったんだけど。もう俺ホント恩忘れないんだけど、キャスティングのプロデューサーの方が、俺の顔じーっと見て。
「ああ、お前ダメだ「ビー・バップ(・ハイスクール)」は」つって。
「顔が優しすぎる」って言われて。
「じゃあこっち(の作品に)出ろ!」って言われて、ドラマの台本バンって渡されたの」
※ビー・バップ・ハイスクール…仲村トオル&清水宏次朗主演 ケンカと恋の日々を描いた青春コメディ映画
満島真之介「えぇー!!」
兼近大樹「え、じゃあそれオーディションなしで?」
萩原聖人「なしで。それが「あぶない刑事」っていうドラマだったの」
満島・兼近「おぉー!!」(笑)
萩原聖人
「で、その第何話かの、ちょっと置き引きをする少年の役があって。
「ああ、これやれ、お前」みたいな。
「これ!これだったらいけんだろ」みたいなノリで(笑)」
満島真之介「へぇ~!」
メチャクチャ優しくしてくれた「あぶない刑事」の共演者たち
満島真之介
「15(歳)であのその「あぶない刑事」行くわけじゃないですか。
もうあの先輩たちそこからなんですか?」
※「あぶない刑事」…舘ひろし、柴田恭兵主演。2人がはみだし刑事コンビとして生きなジョークとクールなアクションで大活躍する刑事ドラマ
萩原聖人
「そうなの。すーごいそのセリフがあって、芝居があって。全員とかなの。
あのー舘さんと恭兵さんと(浅野)温子さんと。
そん時に、めちゃくちゃ優しくしてくれたの。
事務所もどこにも入ってない野良犬みたいなやつが入って。
あそこで怖かったら、(俳優)やってないかもね」
満島真之介「そうでしょうね」
萩原聖人
「うん。温子さんとかは、まあ「聖人」って書くんだけど。
「セイジンちゃ~ん!」つって。「おいで おいで」とか言って(自分の)車に呼んでくれたりとか。
舘さんとかは、「ボク、アイス食うか?」とか。(笑)「ボク~」とか言われて(笑)
なんかね。そんな時代もあった」
衝撃だった映画撮影
タイでのロケで毎日トラブル…「もうやってられない!帰る!」
満島真之介「結構、(今までで)一番衝撃的だったドラマとか映画の撮影ってあります?なんかこう」
萩原聖人
「あるよ。あのー俺が人生で初めて「も~う!やってらんねぇ!帰る!」って言って。「パスポートよこせ!」って言って、暴れた映画が1本だけある。(笑)
僕が25(歳)ぐらいの時だったかな。
タイ。オールタイロケみたいな作品だったんだけど。
出てる俳優が、柄本明さん、六平直政さん、石橋蓮司さんのこの4人だけ。(満島さん爆笑)
ヒロインが謎のタイの女優」
満島真之介「う~わ!」
兼近大樹「知らない人?」
萩原聖人
「知らない。全然知らないんだけど。
色んなことが毎日起こったの、トラブルが。うん。
軽トラに俺と六平さんが荷台に乗って。
その女優さんが運転して。柄本さんが助手席に乗ってたのよ。
木にさ、バーンってぶつかってさ。
「あれ?柄本さん大丈夫か!?」みたいになってさ。
パッって見たら、柄本さん「てめぇ!殺す気か!?」とかって(笑)
なんかね。そんなことが毎日起こって」
兼近大樹「結局、なんで帰ったかっていうのは。最後は?」
萩原聖人
「最後はまあ、「もう無理」と。「俺もう帰りたい」と。
「こんな劣悪な環境の中で、もうできない」みたいになったんだけど。
うちの事務所の社長が、タイまで説得に来てですね。
「聖人」つって。「映画はな、撮らなきゃ終わらないんだよ」って言われて(笑)」
満島真之介「その通りなんですけどね」
兼近大樹「流れたんですか?それは」
萩原聖人
「それが。あがりがメチャクチャ良かったのよ。もう。そう。
メッチャ面白くて。今もう見れないんだけど。サブスクとかでも。
みんな演技が迫真っていうのもあるんだけど(笑)
早く帰りたいし」
