【A- Studio+】吉田羊(2025年8月22日放送)
2012年、NHK朝ドラ「純と愛」でキャリアウーマン役を熱演。その存在感から、ついには吉田羊主演のスピンオフ作品が製作された。
その後もドラマ「HERO」(2014/フジテレビ)、ドラマ「コウノドリ」(2015/TBS)など様々な話題作に出演した。
昨年流行したドラマ「不適切にもほどがある!」(2024/TBS)で演じたコミカルな役どころが話題に。
映画の役のため、1か月イギリスでホームステイ
藤ヶ谷太輔「今回の映画(「遠い山なみの光」2025年9月5日~全国ロードショー)。
邦画の良さと洋画の良さと。あとかつ、それぞれの人生のリンクもあり。なんか不思議な」
鶴瓶「全部英語や」
吉田羊「イギリスに渡って、30年暮らしてる役なので」
鶴瓶「ようだから、あんなんどうしたの?流暢なホントに」
吉田羊「撮影の1か月前に、イギリスにホームステイをして。
で、その30年暮らしてる役なので。
なんかもうこれ行った方が早いなと思って。
で、向こうの生活も体感したいなという思いもあり。英語学習プラス。1か月前に。1か月だけ」
鶴瓶「いやでも、その前からもう喋れたんやろ?それは」
吉田羊「あ、全然喋れないです。あの、もちろんゼロでは…全くのゼロではないですけれども。中高と勉強してる」
鶴瓶「俺も勉強したけど、そんなん…。無理やんな?」
藤ヶ谷太輔「無理ですよ」
吉田羊「一昨年の年末にこの作品のオーディションの話をいただいて。
で、その時に、まあ決まるかどうか分からないけれど。
撮影の前に向こうに行けるように1か月丸っとあけといたんです」
鶴瓶「あ、向こうから言われてないの?それは」
吉田羊「言われてないです」
藤ヶ谷太輔「そっか。決まってからだと遅いから」
吉田羊「もう仕事が入ってしまうと行けないので。オーディションの段階で1か月もう丸っとあけて」
鶴瓶「そんなんあけたら、ギャラも入ってけぇへんわけやんか」
吉田羊「(笑)」
藤ヶ谷太輔「極端な話で言えば、そうですよね」
鶴瓶「まあでも、それ以上のものはずっと得てんねんけども。カンヌにも行けるしやね」
吉田羊「でもね。カンヌも決まってたわけじゃないのでね。ホントに直前に連絡来ましたからね」
鶴瓶「嬉しかったやろ、それ」
吉田羊
「嬉しかったですね~。ああいうのって、事前になんか例えばそのメールをテキストとかで送ると、いつ誰が覗くかも分からないんで、送っちゃいけないんですよ。
なので、その、えーと、決まった日の夜にマネージャーさんから電話かかってきて。
今お話しできますか?って言って」
藤ヶ谷太輔「その入り怖いですね」
吉田羊「そう!入り怖いんですよ。ああ、なんか私やらかしたかなと思って(笑)」
鶴瓶「それは怖いよな」
吉田羊「そう。やらかしたかなと思って、どうしました?って言ったら、カンヌが決まりましたって言って。ああ~(喜)!ってなりました。
やらかしてなかった!いい方だった!ってなりました」
俳優になったきっかけ
会社勤めしてるイメージが湧かなかった…中1まで好きだったおままごと
藤ヶ谷太輔「改めてそのどういったこのスタートで、俳優になられたのかなっていう」
吉田羊
「ああ、えっとスタートは…ええと、あれですね。
就職活動の一環だったんですけども。
あの学生の時に就職活動周りがしてる中で。
なんか自分が会社勤めしてるイメージが湧かないなぁと思って。
じゃあ、何かやり残したことはないだろうかって考えたときに。
「ああ、そうだお芝居…テレビでドラマ見るの好きだったなぁ」とか。
「トイレで一人芝居するの好きだったな」とか」
藤ヶ谷太輔「学生の頃、なんかそういうのやってたとかじゃなく?」
吉田羊「違うんです」
藤ヶ谷太輔「なんか振り返った時に、一人で…」
吉田羊
「ああ、そういえばちっちゃい時からおままごと大好きで。
中学1年生までやめられなかったんですよ。
小学校の高学年になると、どんどん周りが脱落してくわけですよ、おままごとから。
抜けてくわけですよ、どんどん。私1人になって。
しかも、中学生に上がってもやめられなくて。
私一生止められないんじゃないかって不安に思っていたらば、お仕事になってしまいました」
10分~15分のNHKのお話を暗唱
鶴瓶
「いやだからそれがいいよね。ものを覚えんのも早かったみたいで。
なんやお話のなんかテープあったんやろ?あれ全部覚えてしもうた…」
吉田羊
「あ!『お話でてこい』?何でご存知なんですか?NHKのね」
※「お話でてこい」…古今東西のお話を子供たちに届ける1954年から続くNHKのラジオ番組
鶴瓶
「NHKのやつで。まあ、10分か15分位あんねんけども。それみんな覚えてしもうて。声色も変えてしゃべる」
吉田羊「そうです そうです」
藤ヶ谷太輔「もうむしろ芝居ですよね」
鶴瓶「あの小さい時やろ?」
吉田羊「小さい時から、はい。聞いてましたね。吉田家のあのー何て言うのかな…ソウルフードならぬソウルテープみたいな。みんなそれ聞いて育ったんです」
鶴瓶「ああ、お姉さんも?」
吉田羊「はい」
5人兄弟の末っ子…面白く朗らかな素敵な姉に憧れ
鶴瓶「かわいらしい人やな、お姉ちゃん」
吉田羊「え⁉会ったんですか?」
(テレビ画面に映る姉とその画面の前に座る鶴瓶さんの写真が映る)
吉田羊「えっ!?いやちょっと待って…。え~!?」(笑)
鶴瓶「見てみいな。お姉ちゃん、メッチャ良い人。本当に良い人」
吉田羊「え~!?え、大丈夫?いやちょっと待って。大丈夫かな?え~…」
鶴瓶「長女やんな?」
吉田羊
「長女です。5人きょうだいの長女です。
私5人きょうだいなんですよ。8つ離れてます。女男女男女で、私末っ子なんです。
でも姉もね、昔お芝居やってたんですよ」
鶴瓶「そうやねんて。お姉さん劇団におったんよ」
吉田羊「もともと姉がお芝居をやっていて」
藤ヶ谷太輔「その影響みたいなのって少なからずある…?」
吉田羊
「ああでも、あると思いますね。
で、姉がすごく面白くて朗らかでユーモアがあって。本当に素敵な姉なので。やっぱりそこに憧れてた部分もありますね。
姉のようになりたいっていう」
雑誌「ぴあ」に載っていた募集広告に応募
鶴瓶「姉に聞いたんやな?役者になりたいけど、どうしたらいい?言うたら、「ぴあ」の雑誌に載ってる言うて」
吉田羊
「あ~そうそうそう。今もうないんですけど。
「ぴあ」っていう雑誌あったじゃないですか?情報誌。
あれの演劇欄の欄外に、はみ出しユートピアっていう三行広告があったんですよ。
でそこに、まあ『数か月後にやる舞台の女優さん探してます』っていう募集広告があって。
それに応募したのがきっかけです」
鶴瓶「でも、そんなとっから入ってんねんで。お姉ちゃんもそれ見て「これやったら?」言うてな?」
吉田羊「そうそう」
家族の話
穏やかで魂の美しい姉
吉田羊「姉大丈夫でしたか?」
鶴瓶「姉もなんか…俺姉とものすごう仲良くなったわ」
吉田羊「ああ、良かった。かわいらしいんですよね。穏やかで」
鶴瓶「かわいらしい。素敵な人で。穏やかやねん」
吉田羊「穏やかなんです。うん。魂の美しい人です。彼女は」
鶴瓶「せやね。今お父さんの介護もされてんねん」
吉田羊「そうです」
鶴瓶「お父さんの介護に今通ってはんねんけども。
羊ちゃんから電話かかってきてな。
「大丈夫?」と。あの電話の後泣いた言うてたよ」
吉田羊「えっ!?」(涙ぐむ吉田羊さん)
鶴瓶「ホンマに」
吉田羊「あぁ…」(顔を覆い、下を向く吉田羊さん。涙をこらえる)
鶴瓶「ホンマ。ね。気を持ってくれてることのうれしさもあって。泣いた言うて」(涙が溢れそうになる吉田羊さん)
鶴瓶「だからみんなやっぱそういう歳になってくんねんて。
親が歳いってきたら、そうしようという思いでみんなくんねんけども。
でもその時にやっぱきょうだいっていいやんか。な?」
(少し流れた涙を手で拭う吉田羊さん)
鶴瓶「そう思ってくれる妹もおって。で、8歳下の子が大丈夫?っていうと」
藤ヶ谷太輔「一番上っていうのもきっと」
吉田羊「いや、そうなんですよ。やっぱりその。
でまたね。すごい強い方なので。やっぱりこう弱音をなかなか吐かないし。
大丈夫大丈夫って言うから。助けていただいてます」
お父さんっ子だった
鶴瓶「お父さんっ子やったんやってな?だいぶ」
吉田羊
「そうなんです。父っ子だったんです。母が嫉妬するぐらい。
父が長い出張から帰ってきた日に。私、小学生だったんですけど、すごい嬉しくって。
父にもうベタベタベタベタまとわりついてたんですね。
そしたらお父さんが、「じゃあ、ようこちゃん…」。あ、私本名ようこって言うんですけど。
「ようこちゃん、僕着替えてくるから、ちょっと待ってなさい」つって。
で、父が自室に入った瞬間にお母さんが鬼の形相で「アンタだけのお父さんじゃないのよ!!」って言ったんです」(笑)
藤ヶ谷太輔「そんなに言わなくたって(笑)」
鶴瓶「でもそう言うてはった、お姉さんも」
吉田羊「でもそれぐらい本当に父のことがね、大好きだったんですよ、母は」
藤ヶ谷太輔「でも面白いですね。本気でその言葉出るって面白いですね」
吉田羊「本気で怒られましたね。怖かったわ~」
鶴瓶「いや、いい夫婦やったんやろなぁ。もう家族全体がそうなんやろね」
吉田羊「いやでも嬉しい。お姉ちゃんありがとう」
鶴瓶「お姉ちゃんが出てくれたんやね」
吉田羊「いや~絶対嫌だって言ってたんですよね、これまで。どんな番組も。それはこれA-Studio+だからだと思います」
三谷幸喜さんとの出会い
中井貴一さんの紹介で…
藤ヶ谷太輔「でも改めて、応募して雑誌に。で、劇団に入り。でもそっから、この方に会ったのは結構早いですか?じゃあ」
(三谷幸喜さんと藤ヶ谷さんの2ショットの写真が映る)
吉田羊「(笑)三谷さんだ。ワオ!あらやだ」
藤ヶ谷太輔「結構早くないですか?その出会ったタイミングっていうか」
吉田羊「15年以上は経ってる…2009年ですよね」
藤ヶ谷太輔「これでもその、出会いが面白いなと思って。中井貴一さん」
吉田羊「あ、そうです そうです。中井(貴一)さんがたまたまご覧になっていた朝ドラで私を見つけてくださって。
(※NHK朝ドラ『瞳』(2008年)に出演していた吉田羊さんの後ろ姿の演技を観て、当時無名だった吉田を主演ドラマの追加キャストに起用)
で、その時に中井さんが舞台をやってらっしゃったんですよ。三谷さんの。
で、「観に行きたいです」って言ったら、「あ、じゃあ三谷さんに紹介するよ」って言ってくださって。
パルコ劇場の裏で引き合わせてくださったんです。
で、その時に、初めて三谷さんにお会いするので、もうとにかくオシャレをしなきゃいけないと思って。
黒のロングコートに当時流行っていたラビットファーをかぶり。で、当時流行っていたつけまつげをつけ、会いに行ったんですよ。
そしたら、その時三谷さんは中井さんから「素朴ないい子が来るんだよ」って聞いてたのに、「メーテルみたいな人が来た」ってお思いになったらしいです。
で、当時髪も長かったんで」
藤ヶ谷太輔「その時に三谷さんも舞台で新しい女性をキャスティングをちょっと探してて」
吉田羊「劇団の復活公演で。(※東京サンシャインボーイズ復活公演「returns」(2009))
ただ劇団員だけでやるのもつまらないから、1人まあカンフル剤として、外部の全く知らない女優さんを入れたいっていうので。
あの、キャスティングで探してらっしゃった最中だったんですよ。
なのにメーテルの格好して行っちゃったんで(笑)
なんか1回候補からは外れたと聞いてます」
藤ヶ谷太輔「そう。だから最初の頃の稽古っていうのは、結構覚えてらっしゃって。
なんか羊さんが稽古でバーッって号泣したりとかしたのを三谷さん覚えてて。
それを見て三谷さんが「何てこの子は水分量がすごくある女優さんなんだ」と思ったと」
吉田羊「そこ!?(笑)」
藤ヶ谷太輔「鼻水、涙…この子は水分量多いなぁと思ったと」
吉田羊「そうですね~。鼻が悪かったんでね、当時。泣いたらもう鼻水がツーって」
吉田羊さんの魅力は…横顔?
藤ヶ谷太輔「結構それから三谷さんの作品結構続きますよね?」
吉田羊「はい。いくつか出さしていただきました。つい最近ですと、(舞台)「蒙古が襲来」(2025)っていう。蒙古襲来のエピソードに着想を得たオリジナルのお話で」
藤ヶ谷太輔「この時の話もされてて。なんかその喜劇女優としてもう1ランク上がるための強化月間というか」
吉田羊「うん。おっしゃってましたね。今回の舞台の目標は、吉田羊のコメディセンスの向上ですとおっしゃってました」
鶴瓶「コメディセンスってある…メチャあるで」
吉田羊「いや、難しいですね、コメディ本当に」
藤ヶ谷太輔「あと羊さんの魅力を聞いたら、横顔と正面の顔のギャップだっておっしゃってました」
吉田羊「(笑)そうなんですよ。三谷さんには横顔褒めていただいて。横顔だけ褒めていただきますね。(笑)
で、いつか羊さんの横顔だけの映画が撮りたいって言われてます」(笑)
羊さんは…人の話を聞かない
藤ヶ谷太輔「あと、イメージ全然ないなと思ったのが、羊さんは人の話を聞かないと。
例えば舞台でこうしてほしいっていうダメ出しというかね、変更を伝えても、変えてこないと。(笑)
それは、三谷さんの中で、あ、きっと彼女は揺るぎない思いっていうか。私が変えないのはこういう信念だから変えないんだって思ってたらしいんですけど。
あそこなんで変えないの?って聞いた時に羊さんが「えっ?そんなこと言ってましたっけ?」って。
だから、人の話をあ、この子聞いてないんだって思うまでに、結構何年かあったと。
聞いてらっしゃるイメージだから」
吉田羊「厳密に言うと、別の事を考えてるんです。
稽古場で例えば前にされたダメ出しを書き込んでいるときに次のダメ出しをされると、もうそれ聞けないです。ここに集中してるんで。
だから多分男脳なんですよね。一遍にたくさんのことができない」
藤ヶ谷太輔「そう。それをね。あのーなんか、学生の頃にもいたじゃないと。とにかく授業でとにかくノート取ると。でもテスト点数悪い」
吉田羊「(笑)まさにそれでした。恥ずかしながら。聞けないんですよね」
鶴瓶「でも、ここもしかりやけど、やっぱりええ人と仕事してるよね」
吉田羊「いや~本当にありがたいです。御縁女優と呼んでおります」
鶴瓶さんのひとりごと
鶴瓶
「デビュー当時の事を振り返ると、今の活躍が本当にうれしいってお姉さんがおっしゃってたんです。
デビュー当時、メチャメチャ心配したって。出るまでに。
それが今の活躍が本当にお姉さんは嬉しいと。
昔あの出演する作品を教えてくれたのに、この頃出演する数がものすごい多いから、教えてくれない。
本当は今も出演の情報を教えて欲しいねんけど。
羊は自分に対してものすごい厳しいところがあるってお姉さんがおっしゃってた。
だから毎回作品の感想を本人に伝えているのはなんでやいうたら、思っているだけでなく、声にだして「よかったよ」とほめ続けなければと思ったから、毎回言うてる言うんですよ。
舞台はまあ生で拍手できるから、舞台をずっと続けてほしいと思ってるって。
きょうだいってやっぱりほんと素晴らしいと思いますね。
今日のゲストは吉田羊さんでございました」
