【情熱大陸】俳優・モデル鈴鹿央士さん(2025年3月30日放送)

2年半前の取材

(車内で…)

鈴鹿央士(当時)
「(ノートを開いて)スケジュールだったりとか、なんかこれちょっとお金…お金の計算もします」

23歳を目前にしていた鈴鹿央士は、持ち歩いているノートを恥ずかしそうに見せてくれた。

鈴鹿央士(当時)
「お金の計算してます。(ノートに)電気代とガス代と年金、保険、都民税、水道って書いてます」

スタッフ「ちゃんとしてますね」

鈴鹿央士(当時)「はい。意外となんか。意外と真面目なんだねってよく言われます」

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スカウトされ芸能界へ

俳優に憧れたわけではない。
きっかけは高校2年生。スカウトだった。

鈴鹿央士
母親になんか「そうやって言ってもらえたんだったら、とりあえずやってみれば」みたいな。
で、「一応大学は行って。就活するまでに芸能が楽しかったら芸能を続けて。
楽しくなかったなとか合わないなと思ったら、大学を続けて就職してってすればいいじゃん」って言われて。
「あ、そっか」と思って。
あんまなんかこう、「やってやるぞ」みたいなのはなく。ほわーっと。
「いってみようかな」くらいで

 

ところが、岡山から上京して間もなく、オーディションに受かった映画『蜜蜂と遠雷』(2019年)でいきなり新人賞を総なめにした。

日本アカデミー賞新人俳優賞他5つ
それがビギナーズラックでなかったことは、後の活躍が物語っている。

やがてドラマ『silent』(フジテレビ)が同世代の多くの共感を呼び、人気は一気に高まった。

気負うことなく、過剰に臆することもないベビーフェイスは、いまや引っ張りだこだ。
その自然体が生むリアリティ。

 

母校の岡山県立西大寺高校を訪問

校内で映画の撮影…広瀬すずさんの目に留まり

2000年岡山の生まれ
岡山県立西大寺高校
オフを利用して母校を訪ねた。

高校の部活で熱中したのは、バトミントン
バトミントン部顧問の西崎先生には当時からもっとがっしりした体を作れと言われていた。
入部当時は初心者だったが、3年生でレギュラーになるまで上達したという。

高校2年の時、校内で映画の撮影があった。
エキストラの1人高校2年生の鈴鹿に目をとめたのは、ヒロインの広瀬すず
すぐマネージャーにスカウトを勧めたそうだ。

鈴鹿央士
「ここら辺にこういて。
で、すずちゃんが、あの消灯って書いてるあそこら辺にこうやってまあ立ってて。

それも助監督さんに「ちょっとそこの男の子、あっちからスタートにしてくれますか?」って言われて。
「あ、わかりました」って言って。こうやって(そっちの方に小走りで)行ってて。

で、まあ(すずちゃんが)いるから。こう見て。

ここ(2~3m位離れたところ)からでなんか…どうもってなって(お辞儀して)、こっち行ったっていう感じですね。

だから、ここですよ。ホントここに。こうやって(立って)いたんですよ。
だから、ここが始まりの場所です。鈴鹿央士の始まりですね」

だから芸名は、広瀬すずにあやかって「すずか(鈴鹿)」

 

バトミントン部顧問の西崎先生とおしゃべり

(学校の教室で)

西崎先生「やってて面白い?」

鈴鹿央士「面白いです。めちゃめちゃに」

西崎先生
「えーでも、あれだけのものを作る…よう分からんけど、結構NGとか叱られたりとかせんの?
演劇経験もないのに?」

鈴鹿央士「だから、今勉強してます、色々」

西崎先生
「ずーっとできるだけ気づいたら観にいこうと思って。
粗探しじゃないけど、なんかな、親心みたいな。
失敗しないかとか迷惑かけてないかとか、そういう目で観ちゃうんだけど。
なんか意外とこなしてるような気がする。素人目で観るとな。
いや、才能があったんかな。
でもそれとなんだろう。それから、台本覚えれるの?セリフ」

鈴鹿央士「僕結構覚えれる人です」

西崎先生「ホントに?勉強そんなに得意だったけな?なあ?(笑)」

(笑う鈴鹿さん)

西崎先生「そうなの?覚えれるんだ」

鈴鹿央士「はい」

西崎先生
「いや、それも大変だもんな。
まあでも、週刊誌に載るようになったら1人前だな。週刊誌に載るようになったら一人前だから」

鈴鹿央士「ええ~!?」

西崎先生「でも央士のネタで他の人が稼げるようになったら」

鈴鹿央士「そうですね。僕のネタで稼いでもらう」

西崎先生「稼いでもらえるようになったらな」

鈴鹿央士「一人前」

 

鈴鹿央士さんは令和の笠智衆!?

去年の春(2024年4月)。新たな映画がクランクインした。
映画『花まんま』。
家族愛を描くヒューマンコメディー。
今度の役はカラスと会話ができるという一風変わった研究者。
監督前田哲が鈴鹿を起用するのは、これが2作目。
自然な演技を評価しているという。
主演は鈴木亮平と有村架純だ。

 

鈴鹿央士「慣れないですね、まだ全然」

スタッフ「何に慣れないんですか?」

鈴鹿央士「役に」

四角四面でコミカルな味を出すキャラクターはこれまで経験がない。
自分以外の誰かになりきる、俳優という仕事。

 

スタッフ「どういう役者さんになって欲しいなとか」

前田哲監督
「僕はね…令和の笠智衆だと思ってるんですけど。
あの感じを持ってる人ってなかなかいないっすよね。
飄々としてるけども、すごく奥深い感じが。
褒め過ぎ?」

昭和の名優笠智衆(1904-1993)は、鈴鹿が大好きな『東京物語』など小津映画の常連だ。

鈴鹿央士
「いや~…恐れ多いですよ。笠智衆さん。令和の…。
まあ、鈴鹿は鈴鹿で。やっていきます。頑張って」

 

ファッションショーを見にパリへ

忙しくても二度と見れないショーを見る

ドラマ9本と映画3本が続いた直後、ほんのわずかの隙間を利用してフランス・パリに飛んだ。
ファッションショーを見るためだった。
同じショーは二度とない。若さと好奇心のなせる業だ。

(車中で)

鈴鹿央士「疲れた」

ショーの会場は全仏オープンのセンターコートだった(ローラン・ギャロス・スタジアム)。
今回は1泊3日の強行日程。
モデルの顔も持つ鈴鹿は、どうしても見ておきたかった。
LACOSTE  2024年秋冬コレクション
本場のショーはもちろんのこと、パリ自体も初めてだった。

せっかくだから食べてみたい料理がある。
そういって夜の街に出た。
注文したのは、エスカルゴ。

鈴鹿央士「カタツムリですよね?」

ガイド「カタツムリ。だから、引っ張り出してフォークで」

エスカルゴにトライしたのには訳があった。
映画『プリティ・ウーマン』のワンシーンだ。

(エスカルゴを皿に乗せようとして、滑り落ちてエスカルゴが皿の外に転がる)

鈴鹿央士「今ちょっと『プリティ・ウーマン』と同じことしてた」

ただし、ジュリアロバーツはもっと派手に弾き飛ばしていたけれど…。

(エスカルゴを食べる鈴鹿さん)

鈴鹿央士
「おいしい(笑顔)おいしい。おいしいけど、カタツムリなんですよね」

翌日はもう飛行機に乗る。だが、忙しさを嘆くことはなかった。

鈴鹿央士
「なんかイギリス行った時も、もう4日目とか…3日、4日目で、「あ、仕事しなきゃ」ってなんか焦っちゃって
やっぱ内心、「あ、仕事好きなんだなぁ」っていう再確認になったりとかもしましたし」

 

作品の中で生きる人でありたい

去年(2024年)の秋に待っていたのは、月9の主演ドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ)。
大舞台をのびのびと楽しんでいるように見えた。
どうやらこの2年半で、鈴鹿央士には心境の変化があったらしい。

鈴鹿央士
「どうなんでしょうね。いろんな顔を持ってたいとは思うけど。
なんか作品の中で生きてる人でありたいから。
もう鈴鹿央士っていうよりは、なんかの役を通してみてほしい

自分であるよりも与えられた役柄でありたい。
その顔は、出会った頃より少しだけたくましくなっていた。

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