鶴瓶「まあ、ある時俺を呼びよってね。」
佐藤二朗
「小栗(旬)と(藤原)竜也くんとか吉田鋼太郎さんとかがいて、飲んでて。
誰が言ったのか分かんないけど、(鶴瓶)師匠呼ぼうってことになって。
ほんで、来るわけないと思ったら。時間遅いしね。
そしたら、師匠がパジャマで来て。
確かね、地元のバーで飲んでたの、1人で。
ほんで、急に寂しくなって、小栗(旬)に電話したんですよ。
で、そしたら小栗が、「二朗さんちょっと行きませんよ。僕も今こっちで飲んでるんですよ」とかつって。
「いいから、来いよ」みたいなこと言ってたら、吉田鋼太郎さんに変わられて。
先輩だから、「あ、すぐ行きます」って言って、僕が行って」
飲み仲間・広瀬アリスさんをめぐって争い
藤ヶ谷太輔
「やっぱ二朗さん酔っぱらうと人を呼びたくなったりとか。
男性だけじゃなくて、それこそ橋本環奈さんに連絡してみたりとか。
広瀬アリスさんに連絡してみたりとか」
佐藤二朗
「橋本(環奈)はね、なかなかタイミングが合いませんね。
あのーでも、(広瀬)アリスは何回か地元に来て」
鶴瓶「アリスはめっちゃええ奴やな」
佐藤二朗「ええ奴よ」
鶴瓶「あれ、何やの?あのアリスは」
佐藤二朗「いや、ほんとだよね。
俺だって、これ全然変な意味じゃなくて、ある年の(クリスマス)イブにアリスとさしで飲んだことありますからね。俺の地元で。
俺その時初めてイブっていう事を知った。イブって感覚無かったから」
鶴瓶「言うとくけど、アリスは俺やからね」
佐藤二朗「どういうこと?いや、それは師匠。73のご老体が…」
鶴瓶「いや、いいよ。アリスはもう俺ですから」
佐藤二朗
「いや、全然師匠。それはもう勘違いです。アリスは僕です。
イブに2人でさしで飲んでるんですよ。おこがましい」
鶴瓶
「いや、たまたまイブやろ。
ほな今年のイブに俺がアリスに電話するわ。
「お前、ちょっと飲もうか」言うてね」
佐藤二朗「じゃあ、俺も「もう絶対イブに師匠の誘いだけには乗るなよ」って」
鶴瓶「それ言うたらずるいやんか」
佐藤二朗「男っぽい。だから、そういう意味でかっこいいよね。男前」
芝居が大好き 「芝居をする機会がたくさん欲しいから売れたい」
可愛がっている後輩俳優に取材
俳優 小松勇司さん、平野貴大さん
藤ヶ谷太輔
「とにかく芝居が大好きだから、とにかく芝居の話が熱い。
人をあっと驚かせる芝居ができるのかと。
というのと、嫌われる芝居がちゃんとできるのかっていう」
鶴瓶
「さっき言ったように、小栗とかみんな集まって。
あいつら全員芝居好きやからね。
だから、そんな話ばっかしてんねんもん。ねえ?」
佐藤二朗
「あの、おっしゃったとおり、あのー舞台の演出家の鈴木裕美が言ってたことなんですけど、僕を評してね。
「あいつは昔からとにかく変わらない。20代の頃から。
芝居をやりたいという、もうなんか子供みたいにそれだけを思ってて。
売れたいって気持ちは、お前20代の頃からハッキリしてた」って、よく言われるんだけど、鈴木裕美にね。裕美さんに。
あのーそれは、これ全然カッコつけて言うわけじゃなくて。
いい服着たいとか、いい車乗りたいとかっていうことでは全くなく。
例えば、マクベスの芝居だったら、マクベスが一番セリフ多いわけよ。
リア王だったら、リア王が一番セリフ多い。
セリフ多いというか、リア王が一番芝居する機会が多いわけ。
だから、「芝居する機会がたくさん欲しいから、二朗は。
だから、売れたい売れたいって20代の頃から思ってたんだね」って最近になっても言われますから」
藤ヶ谷太輔
「ホントにね、小松さんが言ってましたけど、
いつも呼び出しはやっぱ急だと。
まあ、「今から来い」とかね。「今ここにいるよ」とかね。
「あ、じゃあ分かりました。行かせていただきます」って。
で、小松さん行ったら、もうそこに二朗さんいないと。
呼ばれてじゃあ、行きますってなんか向かってる最中に、やっぱ今日はもう帰るわ」
佐藤二朗「ひどい!(笑)
そんなことは1回位ですよ。あったのは」
舞台をドタキャンした過去
初めてテレビで話すこと
藤ヶ谷太輔
「え、二朗さんそれ、ずっと芝居を続けてるとか。
そのモチベーションというか。
下がることって今までなかったですか?」
佐藤二朗
「それはないなぁ。
ただまあ、20代の頃ね、そのほんとに食えるのかどうかっていうような時はきつかったけどね。
ただやっぱり、あのー誰か見つけてくんねぇかなってことは思ってたので」
鶴瓶
「だから、やっぱ、誰かが見つけるよね。
どないなっても、すごいやつは、やっぱ見つかるっていうか」
藤ヶ谷太輔「昔そのーなんか舞台を直前でドタキャンしたことあってって」
鶴瓶「どういうこと?」
佐藤二朗「それは、もう、ちょっと…それはどうしようかなぁ」
藤ヶ谷太輔「別にそれは、言える感じでもない感じなんですか?」
鶴瓶「いや、言わなあかん。自分がそうしたんやから。遅刻よりもひどいよ」
佐藤二朗「そりゃ、そうですね。これはでもほんとに…」
鶴瓶「言うべきやって、それは」
佐藤二朗
「これ初めて言うよ、テレビで。
今までずっと言ってないんだけど…。
いや、これ言うか…」
鶴瓶
「言うべきやって、そんなの。
もう、ここ(スタジオ収録に来たお客さん)はもう、これを聞きたいと言ってきてはんねん」
佐藤二朗
「いや、違う。ウソつけ!そんなもん」
①主役の長台詞が上手くいかず、行けなかった舞台…「人生終わった」
佐藤二朗
「あのーまあ、じゃあ、25(歳)…23かな?24か。
えーとね、僕今までずーっとね、俺初めて言うな、これ。
あの、文学座っていう養成所行って、1年で劇団員に上げれず。
次のある俳優の養成所にいったんですね。
で、それはずーっと、どの取材でも、今どこを見ても某養成所としか言ってないんですけど。…初めて言うなー…いいかな?
えっとね、じゃあ言いますけど。
(俳優)渡辺えりさんが、「3〇〇(さんじゅうまる)」っていう劇団をやってらして。
そこの、まあ3年だけ無人塾という養成所をやっていて。
その無人塾の3期生で僕はいたんです。
で、まあその時にちなみに余談ですけど、同期で知り合ったのが、今の妻ですけど。
で、そん時に、オールドリフレインという、えりさんの戯曲を卒業公演で、大塚のよろずスタジオでやったんですけど。
もう完全に、ずーっと半年くらい稽古やるんですよ。
あの、普通だったら1か月くらいなんだけども、半年くらいやってて。
で、僕主役のいちすけっていう役で。
まあ、非常に観念的な役で、まあえりさん…あの、えりさんの演出は全然理由じゃないです。
今もえりさん大好きだし、たまに会ったりすると「もう一生笑えるね、この話」とかってえりさんは言ってくださるんだけど。
あのーちょっとおかしくなっちゃってですね。
えっと、しかもね、本番のね、初日の直前…前日に、えーもうほんと明け方の5時まで。
どうしても上手くいかない長台詞があって。
もう3ページぐらいの長台詞があるんですけど。
それこそ素晴らしい、いいセリフなんですけど。
どうしても良くならなくて、もうずーっと。
今だったら、もうビール飲んで寝ちゃうんだけど。
「そんな考えてもしょうがねぇ」つって。
そういう事今だったら学んで知ってるんだけど。
そん時、まだ23,24で。とにかくなんとかしなきゃって。
もうね、俺今でも思うけどね。
半年稽古期間。一滴も酒飲まないんですよ。
で、もう、どんどんどんどんおかしくなっちゃって。
それでね。でも行くつもりで、よろずスタジオのどっかの新大久保かなんかで。
何回かね、降りたり乗ったり繰り返してるんですよ。
ほんで、なんか集合時間が過ぎて、「ああ、もう俺完全に人生終わった」って思って。
②ホームレスになろうと思い…
佐藤二朗
「ほんで僕、大学が長野県松本市で。
まあ、今はそんなことないと思うけど。
駅にまあ、いわゆる…これどこまで言っていいんだろう…家のない方々がいたんで、それになろうと思って。
えっと、あずさ…特急あずさに乗ろうと思ったんだけど…。
えっとね、カプセルホテルに泊まったの。
ほんでね、半年ぶりぐらいにビール飲もうとしたんだけど、今考えると小さい小生がね、半分も飲めなかった。
ほんで、カプセルホテル泊ったのに、カプセルで寝てないの。廊下で寝てんの。
もうボロ雑巾のように」
③探し回ってくれた渡辺えりさん&劇団員…母と寿司屋に行きうわーと泣く
佐藤二朗
「ほんで、そんで携帯無いから、家に留守電がもう何百件って入ってる。
当たり前だよね。
で、えりさんとしては、劇団員たちを集めて、「探せ」と、とにかく。
で、うちの母親にも電話してるの。
ほんで、もうえりさんは、もう俺ちょっと泣きそうになっちゃうけど。
えりさんはうちの母親に「預かっている大事な二朗くんをこんな風にしてしまいました」と。
えりさんは、全然理由じゃないんだよ。全然。
だけど、「我々も今探してます」と。
っていうんで、うちの母親愛知県から出てきたんだけど。
そうそうそう。出てきて。
みんな、あのとにかく見つけても…ほんで僕その時風呂なしのアパートに住んでて。
そこにも劇団員の人たちが来て。
家に帰ってくるかもわかんない。
で、携帯とかないから。
ほんなら、俺はもうフラフラフラフラ…。
なんかゲーセンとかいって、テトリスやってた。よくわかんないけど。
それで、えーと母親か…あれ何だっけな?
あ、で、その留守電の中に1件母親の留守電があったんです。
携帯無い、当時ね。
それでね。俺も今でもね、何であそこで待ち合わせしたか分かんないんだけど。
歌舞伎町のバッティングセンターで。
それで、母親が来て。ほんで何も言わないで。
で、俺生まれてその時初めて回らない寿司屋で母親と寿司食って。
俺何にも言わないで寿司食いながら。
寿司なんてもうほとんど食えずに。うわー泣いて。母親の前で。店員もいるのに。
何事?って思うだろうね。で、泣いて。
で、その後家に戻って」
④将来を思って、この出来事を内緒にしてくれていた
佐藤二朗
「で、その後何日か経った後。
えりさん…で、えりさんはオールドリフレインのいちすけの役を俺初めて言うな…役をえっと3期生で…1期生の時にいちすけをやった土屋良太さんという先輩の俳優さんに、えりさんは代役を頼んで。でもそんな…
で、妻も出てるんですよ。
で、妻は出て、その公演はビデオもあるんだけど。
俺が「もうちょっと立ち直ったから見して」って言っても妻は絶対に見してくれないんだけど。だから、いまだに見てないんですけど。
もうプロンプトとか入れて。
すっごい長台詞があるから、いくら2年前にいちすけやった土屋さんも、そんな1日じゃ覚えられるわけない。
だからプロンプをバーッと入れて。なんとか公演をやって。
で、それでえりさんはもう俺の将来を思って、今の今まで、えりさんは、土屋さんもそうだし、みんな内緒にしてくれてるんですよ。このことを。
だから、俺こうやって勝手に言っちゃってるけど。
だから、えりさんと会うと、「あのーこれ一生この話で笑えるね」とかってえりさんは言ってくださる。
だから僕は、「いやもうえりさんはそうやってご笑納いただいていいけれども、僕はもう一生背負う十字架なので」っていって。
だから、今ごめんなさい、えりさん。
こういう流れで言ってしまいました。
それで、えりさんは(俳優)土屋(良太)さんとそれをきっかけにご結婚されたんです」
⑤恩人渡辺えりさん ただ振る舞ってくれた目玉焼き「とにかくよかった、また会えて」
佐藤二朗
「で、僕はだから謝りに行って、当時下北沢のえりさんの家に謝りに行って。
目玉焼きをごちそうになりました。
「私こう見えて料理上手いだろ」とかえりさんは言って。
ほんで、「まあとにかくよかったよ。こうやってまた会えて」って言って。
えりさん、ただ何にも責めずに。料理だけ振る舞ってくれて。
おい、俺ちょっと泣きそうなんだけど、この話すると。
そうそう。そういう事がありました。
だから、えりさんはもう一生あのー頭が上がらない恩人ですね。
おーなんでこんな話を。
これヤバいな。
えりさん、すいません。ちょっと勝手に言ってしまいました」
鶴瓶「いや、いいよの。許してくれる、それはね。いや、でもそんなことあると思わへんかったなあ」
佐藤二朗「うーん、そうですね。これほんとに普通に初めて言いました」
相当ダメな俺でもできるから頑張って!
鶴瓶
「まあ、そういうのんも、いろんな苦労を経て、今度やるああいう芝居もできるんやから。そういうことがあって、芝居する喜びみたいなのもあんねんもんね?」
佐藤二朗
「そうですね。だからそのーどうしても祈るような気持ちで信じてるっていう負を力にするっていうか。
負を生きる燃料にするっていうのは、やっぱりそういう…そういう経験があった。
例えばその時のスタッフ、えりさんをはじめ色んな人に迷惑をかけた。共演者も。
だから、そのあれだけど、まあ、そういう経験があって今があるのかなっていう気はします。」
鶴瓶「ええ芝居してください、これからも」
佐藤二朗
「ありがとうございます(涙ぐむ佐藤さん)
A- studio3回目でこんなことになるとは思わなかったな。
だからまあ、これから俳優やる人、若い人。
相当、相当ダメな俺でもできてるから。
まあね、頑張ってくださいって感じですよね、これからやる人」
鶴瓶「ごめん、ごめんそんな話」
藤ヶ谷太輔「すいません」
佐藤二朗
「いや、大丈夫大丈夫。
まあでもあの、やっぱいつかはね、墓場入るまでに、あのーそのー。
もうほんとにえりさんとかよくしてくださったので。
そのまあ、いつか言う機会があるかな…とは思ってはいたんで。
まあ、うん」