【日曜日の初耳学】Mrs.GREEN APPLE×林修(2024年9月15日放送)

「ケセラセラ」で第65回日本レコード大賞受賞
2023年紅白歌合戦出場。

Mrs.GREEN APPLEの楽曲は、一度はどこかで耳にしたことがある名曲ばかり。
これらすべての曲はボーカル/ギター大森元貴(おおもりもとき)が作詞作曲を手掛け、ギター若井滉斗(わかいひろと)とキーボード藤澤涼架(ふじさわりょうか)によって奏でられている。

2022年「ダンスホール」
♪いつだって大丈夫この世界はダンスホール 君がいるから愛を知ることがまたできる

2018年「青と夏」
♪夏が始まった合図がした 傷つき疲れるけどもいいんだ

2023年「私は最強」
♪さあ、怖くはない 不安はない 私の夢は みんなの願い

 

  1. 芸能界のファン・知人
    1. 嵐・二宮和也さん
    2. 最高齢ファン・研ナオコさん
  2. 中学の同級生同士「クラスの中心にいた若井さんとなんだアイツ…と思っていた大森さん」
  3. 大森元貴さんの独特の曲作り
    1. 譜面が読めない
    2. 飽き性「1~2時間集中して1曲を作る」「自分が飽きない曲を作る」
    3. 飽き性ゆえ?完成間近で消された楽曲も
    4. 昔作った楽曲をリリース
  4. 心に響く名曲3曲に迫る
    1. 1曲目 『僕のこと』 アスリートへの応援ソング
    2. 2曲目『ケセラセラ』 なるようになる、なるようにしかならない
    3. 3曲目『ライラック』 何かを乗り越える経験のため…難しすぎるギターフレーズ
  5. 3人の出会いとバンド結成まで
    1. 小学校6年生 初めて楽曲を作る
    2. 中学生 すごい高いクオリティーの曲でビックリ
    3. 第一印象で大森さんが藤澤さんをスカウト
  6. 人気絶頂の中、突然の活動休止(2020年)
    1. 消費されていくのが怖かった
    2. 休止期間中の過ごし方「楽器は一切弾かない」「休止期間の方が忙しかった」
  7. 活動再開のきっかけ
    1. 映画 ONE PIECE「Film Red」の主題歌のオファー 楽曲『私は最強』
    2. 活動休止して以来、初めて楽器を触る
    3. 楽曲『私は最強』の歌詞の意味
  8. 活動休止期間中に習ったダンスで新たな世界が広がる
    1. 楽曲『ダンスホール』で紅白歌合戦初出場(2023年)
    2. ダンスという武器を手に入れ、ライブも新たな表現へ
    3. 歌+演奏+ダンス+演技の斬新なライブ
  9. 仕事をする上で大切にしている考え方「常にワクワクできるように」

芸能界のファン・知人

嵐・二宮和也さん

林修
「Mrs.GREEN APPLEといえば、本当に芸能界の支持者がものすごい多いことでも有名ですよね?
嵐の二宮(和也)さんは、このようなコメントを残されています。

『おおもっりぃーもとぅーきーがすぐ才能爆発するから分かりづらい人もいるかもですが、若井氏も藤澤氏も普通に4番打者』」

若井・藤澤「嬉しいですね。ありがとうございます」

大森元貴
「でもまず、おおもっりぃーもとぅーきーなんて、本人を目の前に言われたことがない。やっぱね。ちょっとこうひねくれてらっしゃるので」

 

最高齢ファン・研ナオコさん

自称 芸能界最高齢ファン 研ナオコさん(71歳)

実はMrs.GREEN APPLEのライブに何度も足を運ぶ熱狂的ファン。

研ナオコ「生はすごいですよ。生はすごい。迫力が違う」

スタッフ「一番聴く曲でいうと?」

研ナオコ
「私は「ケセラセラ」。(レコード大賞も)生放送で観てましたもん。
歌いましたよ。テレビの前で一緒になって。でっけえ声して。
(レコード大賞)とれとれとれとれとれ…とった~!

(大森元貴は)天才です。天才です。
でもそこについていく若井くんと涼ちゃんは、彼たちも相当頑張ってますよ。
あの天才についてくんですから。

で、すっごくいい役割なんですよ。
涼ちゃんがもうなんかほのぼのした可愛いマスコット的な存在で。
で、若井くんなんかもうミュージシャンっていう感じでやってるし。

う~ん、なんか良いバランスだなと思って」

 

大森元貴「うわぁ、嬉しい」 3人「ありがとうございます」

林修「良いバンドですね」

 

中学の同級生同士「クラスの中心にいた若井さんとなんだアイツ…と思っていた大森さん」

林修「あ、大森さんが僕になんか暗い部分を感じるとおっしゃったと」

大森元貴
「(笑)早っ!チクるの早っ。いや、なんか林先生の印象を聞かれたときに、僕は勝手にシンパシーを感じてまして。

なんかこう、ちゃんと人肌溢れるこう暗い部分というか。
誰しもがやっぱ持ってる部分を、なんか香るのって僕すごく安心するんですよね。

勝手にやっぱりテレビで拝見してて、なんか僕は林先生にとても安心感を勝手に抱いてまして。

そういう風に言ったんですけど、そこだけ(=「暗い」という部分だけ)切り取られただけなんですよ」(笑)

林修
「いや、でもあのーさすがだなあと。
あのーよく小学校なんかでクラスの中心にいて、スポーツもできる、みんな一緒にやろうぜっていう。
そういうのが大嫌いで教室の隅にいた方です。」

大森元貴
「まさにそうなんですよね。
その真ん中で「何かやろうぜ!」って言ってんのが若井だったんですよ。
中学の同級なんですけど。
僕なんか教室の隅から「なんだあいつ…」と思ってこういう風に見てたんですけど」

林修「よく仲良くなれましたね」

大森元貴「いまだにびっくりだよね?」

若井滉斗「そうだね。なんでここが交わったのか分からないっていう。同級生からも」

大森元貴
「地元の人たちはみんな言う。みんなそう思ってると思います。
「青と夏」っていう楽曲を歌ってたりするんですけど。
僕あんな青春送ったことないので」

(※楽曲「青と夏」 ♪夏が始まった恋に落ちた もう待ち疲れたんだけど、どうですか??)

林修「いいんですか?そんなこと言っちゃって」

大森元貴
「いいんです。全然言ってるんで、はい。
送ったことない。知らないですね。いまだに分かんないから。
憧れ意識とかやっぱそういうインスピレーションの部分で、なんか憧れ焦がれる気持ちで書いていった気もするので。
全く経験がないです。教えて欲しい、むしろっていう。」

林修
「いや、知る必要ないですよ。
もう大体ね「青春はいいよね」って言うヤツは、だいたい人生のピークが青春来てたヤツですから」(笑)

若井滉斗「なんかすごい毒…」

 

大森元貴さんの独特の曲作り

譜面が読めない

そんな大森元貴の音楽センスを吉田拓郎も絶賛。
特に楽曲作りはとにかく独特で…

林修「え?譜面が読めない?」

大森元貴「譜面、僕読めないですね。読めないし、書けないですね」

林修「でも曲は作れる?」

大森元貴
「曲は何とか作ってますね。
あの、藤澤が読める人なので。そういう音楽の学校行ってた方なので。
これどうかな?とかきいたりとか。そういうのはありますけど」

藤澤涼架「なので音源とかはほんとに楽曲、音源だけで僕らに送られてくる状態ですね」

若井滉斗「その音源の中に入っているそのギターだったり、キーボード、ピアノだったりを耳で聴いて、コピーして、演奏するっていう」

大森元貴「耳で聴いて頑張ってくれてるんですよ」

若井滉斗「そう」

 

飽き性「1~2時間集中して1曲を作る」「自分が飽きない曲を作る」

林修「普段どんな風に曲作りをなさってるんですか?大森さんは」

大森元貴
「普段はPC(パソコン)でドラムを打ち込んだり、ピアノを弾いたっていう中で。だから1人セッションみたいな感じですね。

で、僕すごい飽き性なので。
もうなんかゆっくりこう作るっていうよりかは、集中して1~2時間とかで楽曲を1曲作るように心がけていて。

だから途中で僕が飽きてしまった楽曲は、きっと世間にも飽きられるだろうっていう気持ちで。

僕がよっぽど飽き性なので、僕基準で曲を進めて行くんですよ。

だからそれもあって、途中で3拍子になったり、4拍子になったりとか、転調したりっていうのは、僕が僕自身に飽きさせないための施策だったりもして。」

 

そう。Mrs.GREEN APPLEの曲は普通の楽曲ではありえないリズムで進行する。

例えば2024年発売の楽曲「ライラック」も独特なリズム。
20秒間で3拍子と4拍子を8回も往復している。

 

(スタジオで…)

林修「木嶋さんに聞きたいんですけど、3拍子4拍子、ああいう風に行くっていうのは音楽的にどうなんですか?」

木嶋真優(世界的ヴァイオリニスト)
逆に楽譜を読めたら、あのアイデアにならないんですよ。
本当にまさに感覚的とかそういうものが、結局気づいたらあんだけ短い間に行ったり来たりする形になったっていう」

 

飽き性ゆえ?完成間近で消された楽曲も

こうして聴くものを飽きさせない楽曲を生み出すのだが、時にはこんな弊害も…

大森元貴
「だから目の前でね。見ててたぶん、あともうちょっとでできるのに、「なんかもう飽きちゃった」って言って、もう保存もしないで消すみたいなことも

若井滉斗
「本当にあるんですよ(笑)。ほんと。
「いや、めちゃくちゃいい曲だな。もうすぐ完成するな」と思ったら、途中でほっぽり出しちゃうっていう」(笑)

林修「でもそれちょっとパソコンを前の状態に戻して、(データを)こそっと保存して抜けば…」(笑)

大森元貴「ちょっと何てこと教えるんですか。なに吹き込もうとしてるんですか」

 

昔作った楽曲をリリース

林修「じゃあ、本当に未発表、未完成の宝の山がどっかにあるんですね?」

大森元貴「めちゃくちゃあります。たぶん300曲以上あります」

林修「それもう1回自分でこう掘ってみようとは思われないんですか?」

大森元貴
「ああ、たまに思いますよ。だから、10年前の曲をリリースしたりとか。
今聴くと「なんだいい曲じゃん」みたいな。
なんか自分にハッとする瞬間があったりする楽曲ももちろんあります」

若井滉斗「あとあの、(今年発売の)「アポロドロス」っていう楽曲は、あの元貴が何年前だっけ?」

大森元貴
リオ五輪(2016年)のタイミングで、当時まだ10代だったんですけど。

あのー「オリンピックの応援ソングやれるようなアーティストになれるといいなぁ」という妄想をもとに、僕らが当時手掛けるならって作った楽曲があるんですけど。
それがまあ、今回パリ五輪の話をいただいて。
当時の楽曲のフレーズを持ってきて

だから、10年前の自分と今の自分で共作したみたいな感覚で」

若井滉斗「組み合わせるっていう」

 

心に響く名曲3曲に迫る

1曲目 『僕のこと』 アスリートへの応援ソング

全国高校サッカー選手権のテーマ曲

♪ああ なんて素敵な日だ 幸せと思える今日も 夢破れ挫ける今日も

大森元貴
「スポーツってどうしても勝ち負けが存在して。
まあ、高校サッカーっていうと、何千校ある中で、勝者が1組。
つまり、残りの何千校が負けるということなんですよね。

それってなんて酷なことなんだろうって僕は当時思って。

希望だけを歌ってしまうとほんとにきれい事になってしまうので。
本当の意味で、彼らへの応援ソングにならないなと思って。
すごくプレッシャーでしたね」

バレーボール日本代表石川祐希選手が励まされたフレーズが・・・
『♪僕らは知っている 奇跡は死んでいる 努力も孤独も 報われないことがある だけどね それでもね 今日まで歩いてきた 日々を人は呼ぶ それがね、軌跡だと』

石川祐希
「努力は報われないことあるし。
僕たちスポーツやってるので、結果でしか証明できないけど。
勝つ人がやっぱり半分で、負ける方が1チーム出て。
絶対結果は出てしまうので。

まあ、そうじゃなくて、その今までやってきた練習だったり、そういうものを何て言うんですか、信じるというか。
自分とチームを信じて戦うっていうモチベーションを作りやすかったというか」

大森「嬉しい。そっか」

勝ち負けが全ての世界だと思われがちだが、誰もが努力し、積み上げてきた軌跡がある。
その見えない部分を表現したMrs.GREEN APPLEの歌詞にアスリートたちは共感し、勇気づけられている。

 

林修「さっきおっしゃってたこと。しっかりと伝わってましたね」

大森元貴「いや、僕泣きそうになっちゃった、今」

林修「こんな風に通じて…これがきせきですよ」

3人「ありがとうございます」

林修「実際に(石川祐希選手に)お会いしたことは?」

3人「あります」

大森元貴「はい。ライブも来てくださったこともあって」

林修「ライブきたらもう1発で分かるでしょ?」

大森元貴「メッチャでかいんすよ。メッチャでかいね?」

若井滉斗「大きいですね」

林修
「僕個人的には「奇跡は死んでいる」の表現。
まあ、擬人法ですよね。あそこがすごくいいなと。

あれが「奇跡は死んだ」だと、もう奇跡は起きないんですよ。
死んでいるだと、それで蘇ることは否定はされてないんですよ。
今は死んでいるっていう風にとれて。

でその後の「努力も孤独も報われない『ことがある』」ですから。
“報われること”もありますもんね」

大森元貴「そうです。その通りです」

林「いや、いいなあって個人的には」

 

2曲目『ケセラセラ』 なるようになる、なるようにしかならない

♪ケセラセラ 今日も唱える 限界、上等。妬ましさも全部 不幸の矢が抜けない日でも All right All right 食いしばってる

※ケセラセラ→スペイン語で「なるようになる」という意味。

この曲も大森元貴独自の驚くべき方法で生み出されたもの

 

林修「あの曲(ケセラセラ)はメロディーと歌詞どちらが先にできたんですか?」

大森元貴
「あれはどっちも同じですね。同時に出てきました。
「ケセラセラ」っていうのが。もう同時に出てきたので。

僕だから、詞先(詞が先)とか曲先(曲が先)とかっていうのがないんですよ。で、サビから思いつく事もないので。
もう頭のイントロから思いつくとかなので。

あんまりこう、なんかつぎはぎの虫食い状態で作ってくことってまずないですね。

サビになって、「ケセラセラ」っていうのが出て。
「あ、ケセラセラなんだ」みたいな。
だから口にちょっと誘われるというか。口先のその子音の感じ?とか。
うん、メロディーと一緒に詞が出てくるので。

だから僕も不思議な感じですね。
曲が全部出来上がって、こうやって引きで見たときの「こんなこと歌ってたんだ」とか自分で気づきがあるくらい不思議な感覚です」

林修「そのケセラセラで特にこだわった部分ていうとどこなんですかね?」

大森元貴
「ケセラセラってすごい僕はなんか「希望」と「諦観(ていかん)」を兼ね備えている楽曲な気がしていて。
なるようになるから大丈夫だし、なるようにしかならないんだから、もうどうしようもないねみたいな。
なんかすごいうまいニュアンスな言葉だと思っていて。そこを大事にしたくて。

だから詞としては、展開が無いんだけど、楽曲上のこうアレンジとか演奏上ですごくこう人の情緒、人生の情緒を大事にするようにアレンジした気がします。」

林修
「今おっしゃった中で、もしかしたらスタジオが「希望」と「諦観」の諦観についていけなかった可能性があるんですよ。
まあ、たぶん澤部さん分からないんですよね」

澤部佑「いいよ!わかってる顔したんだから。頑張って」

 

林修「希望は希望で、諦観は諦めっていう意味ですね。一応ちょっとスタジオのためにフォローしました」

大森元貴「そう。諦めにも近い言葉だなって僕は思うんですよね」

林修「単なる諦めでもないんですよね。諦観っていうとちょっと難しい意味がありまして」

 

スタジオで…

林修
「あとまあちょっと補足しとくと、諦観っていうのは本質を明らかにして、全てが分かるから、それを受け入れるっていう意味で、諦観っていうのはどっちかっていうとそういう意味なんですよね」

 

林修「あと、まあとにかく全曲通してめちゃくちゃハイトーンで、声が高いですよね」

大森元貴「僕もなんだかんだ苦しみながら歌ってるので」

林修「レコーディングの際に座ってなさるんですか?」

大森元貴「最近はずーっと座ってます」

林修「座ったら声って出にくくなるじゃないですか」

大森元貴
「っていいますよね?僕そんなことないです(笑)。
あの、普段制作してるところが、座って、そのままマイクもこうグッと持ってきて録れる場所なので。
普段の環境に近いリラックスできる歌唱を追い求めたら、座って歌うに結局行きついたんですよね」

 

3曲目『ライラック』 何かを乗り越える経験のため…難しすぎるギターフレーズ

天才・大森が生み出す曲を見事に具現化していく若井と藤澤。
その2人もまた楽器を演奏する天才。

その理由がよく分かるのが2024年4月に発売された楽曲「ライラック」。

 

林修「今年大ヒットしている「ライラック」。これ初めてお聞きになった時、若井さんどう思われました?」

若井滉斗
「これまず、ギターが難しすぎるなっていう。
まあ、聞いた瞬間に「これギターかな?」っていう。
「これギターなの?」「これギターの音だよね」「信じたくないけどギターの音か…」ですね。

そのぐらいギター、かなりテクニカルなギターフレーズが入っていて、衝撃的でしたね。

先に謝られました。「若井ごめん」って言って曲が送られてきて。
「あ、そういうことか…分かりました」つって。

大森元貴「技術的にほぼほぼ不可能なことをやってるので」

若井滉斗「いや、本当に泣きました」

大森元貴「家で練習してるのがすごい嫌になって、家に帰りたくなくなったって言ってたよね」

若井滉斗「その練習してる部屋が嫌いになって(笑)」

大森元貴
結果的にすごい経験値を得る時って、楽しかったっていうことだけじゃなくて、何かこう自分の中での成功体験とか、何か乗り越えたっていう自覚・自認がすごい大事だと僕は勝手に思っていて。

僕も歌に対してとてもストイックというか。
自分で自分の歌にへこむこともあるし。

なんかそこのハードルと敷居は僕はなるべく結成当時から下げないようにしたいなというのは話をしてるので、結果的にみんな苦しむ形にはなってますね(笑)。はい」

 

3人の出会いとバンド結成まで

大森元貴さんと若井さんは中学からの同級生。そして、藤澤さんは後に大森さんがスカウトして、メンバーとなります。

小学校6年生 初めて楽曲を作る

Mrs.GREEN APPLEの全楽曲の作詞作曲を担当する大森元貴は、1996年東京都で誕生。

その天才ぶりは幼少期から片鱗を見せ始める。

林修「だいたい何歳位から(曲を)作り始められたんですか?」

大森元貴
楽曲を初めて作ったのは、12歳の小学6年生の頃ですね。
デビューしてからリリースする楽曲も当時作った楽曲も何曲かあったりっていう感じですね」

小学6年生にしてオリジナル楽曲を制作。
当時作った歌詞がデビュー後そのまま使われることも。

※12歳で作った曲「はじまり」
『♪もしも僕が君だけのヒーローならば…』

 

中学生 すごい高いクオリティーの曲でビックリ

そんな才能を間近で見ていたのが、中学からの同級生、ギター担当の若井滉斗さん。

若井滉斗
「あのー同級生の間で、大森が曲作ってるらしいって有名だったんですよ。

まあ、それをじゃあ僕も聴いてみようと思って聴いたら、「え?これ本当に1人で中学生が作ってるの?」っていうぐらいのクオリティで。めちゃくちゃびっくりしましたね。」

大森元貴
「でもまあ、ちょっと先ほども話したみたいに、僕若井が苦手だったので」(笑)

若井滉斗「あの、そう。あの中学3年間はサッカー部だったので」

大森元貴「いやもうこれだけで先生分かりますよね?」

林修「ええ、ええ。まあ、基本的にサッカー部は半径5m以内には来てほしくない」

若井滉斗「なんでですか」

大森元貴
「すごい分かります。ほんとそこ(サッカー部)のもう真ん中にいた人だったので。
僕も最初スゴく戸惑ったんですけど。はい。
まあ、っていうところから、若井がギターを始めたっていうことで。
「あ、そうなんだ」ってなって。

(若井が)「じゃあ1回スタジオ入ってみようか」って言って。
まあ、嫌々連れてかれて。

入ってみたら、なんか「あ、この人とやるかもバンド」みたいなことをその時に思って。

で、そこからずっとやってるね?」

若井滉斗「そう。中学生の時に「もう若井とは長い付き合いになりそうだな」って」

大森元貴「それ、言った?ほんとに」

若井滉斗「あの、たぶん僕が言いましたね」(笑)

 

第一印象で大森さんが藤澤さんをスカウト

林修「で、そのお2人に藤澤さんが参加されたのはどういうことがあったからなんですか?」

藤澤涼架
「えっと僕は、長野から東京に出てきた20歳のタイミングで。
ちょうど大森…当時はまだ16(歳)でしたけれども。
そのタイミングでたまたま会って、お話しする機会があって」

大森元貴
「お互い音楽やってたので。
で、上京したての彼とほぼほぼ初めましての状態で会った時に、ビジョンにぴったりって思って。直感で。
名前も知らずに僕はお声がけしまして。」

藤澤涼架
初めて会った日に、バンドに誘われました。(笑)
僕と一緒にバンドやれば99%メジャーデビューできるから」って言われて」

大森元貴
何の伝手(つて)もないし、1%予防線はってるのも面白いですよね。
責任取れないんで。100%って言っちゃうと嘘になっちゃうから」

藤澤涼架
「当時からね、物事に対してすごい俯瞰した考え方を持っていたので。
僕2人よりも3つ上なんですけれども。
結構話していて、(大森)元貴から教わることが多かったりとかするので」

大森元貴
「まあでも、藤澤がちょっとね、普通の3つ上よりかはしっかりしてないっていうのもありますけどね」(笑)

藤澤涼架「僕の問題か?」

大森元貴「ちょっと抜けてるっていう」

藤澤涼架「そっちもある?」

 

人気絶頂の中、突然の活動休止(2020年)

音楽の概念にとらわれない大森が作詞作曲を手掛け、それを若井と藤澤が具現化し、今日本で一番聴かれているバンドとなった。
しかし、人気絶頂の中、デビュー5年目の2020年突然の活動休止

当時の大森のコンサートでの言葉

大森元貴
「すごいあの、真面目にやり過ぎて活動してきたもんですから。
すごい辛かったし、休みたいって言っちゃったし」

 

消費されていくのが怖かった

こうして結成されたMrs.GREEN APPLEは2015年にメジャーデビューを果たすと、ドラマや人気アニメの主題歌に抜擢され、一躍ブレイク。

2020年には初のアリーナツアーを敢行し、初のベストアルバムは主要チャートで7冠を獲得。
まさに絶頂期ともいえる最中…。

林修「2020年。本当に調子の良い時に、突然活動休止されましたよね?」

大森元貴
「そうですね。アリーナツアーやっと周れるようになって。
もう全然「青と夏」とかもリリースしてまして。
それこそ「僕のこと」もリリースしてる状態で休止しました(笑)」

林修
「勢いのある時に活動を一旦休むっていうのは、むちゃくちゃ勇気のいる話じゃないですか。戻ってくる目処はあったんですか?」

大森元貴
目処は全く立てずに、一度白紙にしましたね。

それこそ、まあさっき、もうね、それぞれにそれぞれ色んな課題を課してレコーディングに臨むとか。
そうやって自分らの中で、こう何かを乗り越えるっていう所にとても重点を置いて活動をしてたので。
それがまあ、ありがたいことに忙しくなってきて、規模が大きくなってきて。

このままいくと、自分らが成長するよりも前に色んなものがこう消耗していって、消費されてしまうっていう恐怖心が、当時22とか23(歳)とかだったんですけど、思いまして。

これは一度止めて、僕らが自信をもって歩き出せるっていう風に。
ちゃんと色んなものを蓄えてから走り出せるようにならないと。
どこか自分たちに何かこう嘘をついている感覚でやるっていう方が、全てを失うよりも僕は罪深いかなと思ったんですよね。

だから本当は、みんな(メンバー)が納得できなかったら、走り出す気もなかったので。

全くそこで終わってた可能性も全然ありましたね」

 

アウトプットし続ける中で抱いた自分が消費されて行くような恐怖心。
大森は、メンバー1人1人のインプット期間として、Mrs.GREEN APPLEの活動に1度幕を閉じた。

 

休止期間中の過ごし方「楽器は一切弾かない」「休止期間の方が忙しかった」

そして、驚くべきはその休止期間中の過ごし方。

大森元貴
「休止期間。ちょっとすごい生活を実は2人が送ってまして。
楽器を一切弾かなかったりとか。

バンドマンが踊りをするっていうところにこう足を踏み入れるっていうのは、なかなか僕は見たことがないので。

ダンスレッスンをすることになって。
だから2人はプレイヤーじゃなくて、ダンサーとして2年すごしててですね。

活動してた時よりも忙しかったよね。休止期間の方が

藤澤・若井「そうだね」

大森元貴
毎日(ダンスの)レッスンがあって。毎日なんかこう体をトレーニングしたりとか」

藤澤涼架「こう全くみんなが未経験のものをゼロから勉強するっていうのは、とても大事なことだと思うっていうのを話していて」

大森元貴
何かの初心者になる必要が、みんなで同じタイミングで初心者になる必要があったと思うんですよね」

若井滉斗「僕と藤澤は実はその期間(休止期間)一緒に住んでたんですよ。共同生活してて。ご飯を当番制で作ったりとか。」

藤澤涼架「若井はすごい色々バリエーションとかも増やしてくれて。結構僕は若井のメニューが毎回楽しみにしてましたね」

林修「若井さんいかがでした?」

若井滉斗
「キノコが多いです。(笑)
キノコ料理がとにかく多いですね。
もう冷蔵庫見たらわかるんですよ。
「あ、またキノコ入ってる」「今日キノコだな」つって(笑)」

藤澤涼架「キノコ好きなんですよね~」

 

活動再開のきっかけ

映画 ONE PIECE「Film Red」の主題歌のオファー 楽曲『私は最強』

そして、活動休止から2年。ある出来事がミセスを復活に導くことになる。

林修「復活のきっかけとなった出来事はなにかあるんですか?」

大森元貴
「うーん、あのONE PIECEのFilm Redっていう映画の挿入歌を尾田栄一郎先生(ONE PIECE作者)が僕らに「その、いちアーティストとしてお願いしたい」っていう風に指名してくださった話を休止期間の時に聞いてですね。

ちゃんと休止中なのにオファーをいただけたってことが、「あ、うちらミセスなんだ」みたいな。

なんか改めて自分たちがMrs.GREEN APPLEであるっていう意識を取り戻すきっかけになったのがあのオファーだったと思います」

林修「そういう経緯の中で、あの「私は最強」が出来上がったんですね」

2022年「ONEPIECE FILM RED」の劇中歌としてADO演じるウタに楽曲提供した「私は最強」。

 

活動休止して以来、初めて楽器を触る

大森元貴「だから初めてそこで楽器触るんだよね」

若井「そう」 藤澤「そうですね」

若井滉斗「楽曲のリハーサルというか」

大森元貴「2年ぶりの楽器だよね」

若井滉斗「2年ぶりの楽器」

林修「いやだってその時は、リハーサルよりもリハビリが必要な状況じゃないですか?」

大森元貴
「マジで。本当にそう。でも不思議なことに、ダンスしかやってきてないんですけど、楽器上手になってるんです」

若井滉斗「リズムの体での取り方というか、グルーヴ感がすごく上がってて」

 

大森元貴「揃ってるんですよね、演奏が」

林修「その、実際指が動く動かないの問題もあるじゃないですか?そこは大丈夫だったんですか?」

大森元貴「すぐ動いたね?」

若井滉斗「動いた」(笑)

 

スタジオで…

澤部佑「楽器触らないって?」

木嶋真優
「ありえないですよ。1日弾かなかったら、もう(戻るのに)3日は最低かかると脅されて、私毎日3歳から弾いてるんですよ。
2年間休んでも大丈夫らしいって今日知りました」(笑)

 

楽曲『私は最強』の歌詞の意味

林修
「あの、(「私は最強」歌詞)『さあ、怖くはない 不安はない 私の夢は みんなの願い 歌唄えば ココロ晴れる 大丈夫よ 私は最強』って。

まあ、素直に受け取れば最強なんだってこう取れるんですけど。でも、本当に最強の人が怖くはないっていうのかな?って僕なんかひねくれ者だから思うんですよ。

で、不安があるからこそ、ああ自分に言い聞かせるように言ってる歌詞じゃないかっていう風に、まあ僕なんか受け取ってたんですけど。」

大森元貴
「いや、おっしゃる通りだと思います。
ほんとに「私が」じゃなくて「私は」にすることによって、自分を奮い立たせて、何か一歩踏み出すことへの恐怖心と色んなものがこう巡り巡って自分を鼓舞している楽曲だったら僕はできるかもしれないと思って書いたので。

なにか劇中歌をセルフカバーしてるっていうよりかは、自分たちの曲をしっかり歌えてるっていう意識がある時点で、あの自分たちのことを歌っているんだと思います」

 

活動休止期間中に習ったダンスで新たな世界が広がる

楽曲『ダンスホール』で紅白歌合戦初出場(2023年)

私は最強という歌詞に自らも背中を押され、2022年Mrs.GREEN APPLEの第2章(フェーズ2)がスタート。

すると、活動休止中に培ったダンスという表現方法が活かされ、再び世間から注目を集めた。

その曲が2022年にリリースした『ダンスホール』(♪いつだって大丈夫 この世界はダンスホール 君が居るから愛を知ることがまた出来る)。

この曲で2023年紅白歌合戦初出場を果たし、Mrs.GREEN APPLEをさらに1つ上のステージへと押し上げた。

 

大森「デビューも早かったので、人として経験できることとか、こう自問自答する機会っていうのが意外となかった気がしていて。全員が全員。

ね?で、井の中の蛙になっちゃうじゃん。どうしてもこうレコーディングをしたりとか、自分らのルールで走り出すっていうのは。

でもそこで、自分のやっぱりウィークポイント(弱点)を知るとかっていうのはすごくいい機会に、僕自身もやっぱりこの2年間なりましたし。

ここでちゃんとしっかり、2年のやってた意味みたいなものをちゃんと果たせたかなという気持ちです。」

 

ダンスという武器を手に入れ、ライブも新たな表現へ

活動休止の2年間で、「ダンス」という新たな武器を手に入れ、3人全員が進化を遂げたMrs.GREEN APPLE。
ここから、彼らは日本一聴かれているアーティストへと一気に駆け上がっていく。

2024年7月日本バンド史上最年少となるスタジアムツアーを敢行し、15万枚ものチケットが即完売。

大森「ライブもね、ケンティー(中島健人)も来てくれて。そうなんですよ」

実は大森元貴と中島健人は大の仲良し。

林「どうですか?プライベートのケンティーは」

大森「もうケンティーですね。まんまケンティー。ケンティーってケンティーなんだって感動したのを覚えてます」

15万枚ものチケットが即完売するミセスのライブ。それは休止期間中メンバーが努力したあの技術の賜物。
2年間の休止期間に修得したダンスで、ギターの若井、キーボードの藤澤が踊る。

 

歌+演奏+ダンス+演技の斬新なライブ

そして今年、斬新なライブスタイルでファンの度肝を抜いた。

セリフあり、歌あり、ダンスあり。本格的な音楽劇の表現方法を取り入れたライブツアー「The White Lounge」。
映画化もされたこの音楽劇は、ライブ中のMCは一切なし。
バンドメンバーが歌や演奏のみならず、演技やダンスでも表現するという前代未聞のライブが、活動休止期間の成果が存分に活かされたものとなった。

 

林「ちょっと見たことがないような斬新なライブをね?その音楽劇?

大森
「この音楽劇は、あの事前にどんなライブをするか告知はしてないので。
ファンの皆さんは、普通にロックのライブだと思って観にきたら、なんか劇が始まったっていう風になって。
しかもネタバレも禁止にしてたので。SNS上で開示できないっていう。

そういう意味で言うと、芸術ってどういうものなのかとか。
私が思ってるもの(私の感想)とかって正解なのかどうなのかっていうのが今の時代不安になる人も多いので、すぐにSNSで共有して、同じ意見の人を見つけて安堵すると思うんですけど。

自分自身の中で何が好きだったのかとか。これはあんまり良くないと思ったとか。

そういうのってすごく芸術を見る上で大事な気持ちだと、意見だと思うので。
なんかそれをこうちょっと一緒に僕らも含めて作りあげれたらいいなと思って挑みました。」

 

仕事をする上で大切にしている考え方「常にワクワクできるように」

レコード大賞に紅白出場。そして何より今日本で一番聴かれている彼らの仕事をする上で大切にしている考え方とは?

林「皆さんが仕事をする上で大切にされてることを伺えるでしょうか?」

大森「すんげぇ難しい、最後の質問が」

藤澤
「いや、お互いにワクワクを更新しあえる仲でいたいねっていうのをバンドを組んだ当時からずっと言っていて。
それってすごくどれだけ続けていてもすごく大切なことだなと思うので。」

若井
「「次はどんな楽曲がくるんだろう?」って僕たちもこうワクワクする部分もありますし。
こう毎回予想を超えてくる楽曲たちなので」

大森
「まだまだやれてないこともあるし、まだまだワクワクできることだらけなので。
僕らがまず「面白い」と思えることに対して、前衛的に臨んでいけたらいいなと思うので」

林「まあ、やっぱり前衛的なんですね?」

大森
「前衛的に。それはもちろん、やっぱり飽き性なので。
自分自身に飽きてしまうっていうことをやっぱり一番僕は危惧してるので。
常に僕がワクワク。若井がワクワク。藤澤ワクワクできるように
できるなんかその最大の何だろうな…お互いそういう存在でありたいなっていう風にはやっぱ一番思ってますね。理想ですね」

 

思い悩んだ時は立ち止まり、乗り越えることでワクワクすることができる。
そんな彼らの生き方すべてが心に刺さるのかもしれない。

 

 

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