【日曜の初耳学】俳優 草彅剛×インタビューアー林修 後編(2024年5月放送)

黄色い花 俳優(男性)

林「最近ホントに映画や舞台に大活躍で、伺ったところによると、SMAP時代よりも忙しいんじゃないかと…」

草彅「いや、それは大袈裟ですね。さすがに全盛期の時は、もう覚えてないくらいだったんで。でも幸せなことに、演技の仕事はもしかして全盛期で忙しかった時よりか、役は多いかもしれない。

舞台とか映画とかドラマとか、最近ではNetflixとか、新しいコンテンツもあったりとかして。台本を1年中肌身離さずの生活が続いてますね。

何か1つ(作品が)終わるころには、また新しい役が来て」

と語りました。

前編に引き続き、草彅剛さんインタビューの後編です。

後編も見どころ満載でした。

 

香取さんと2人でやっていたダンス練習

ダンスしている男性

林「YouTubeやTikTokもお忙しい中やられていて、ダンス動画も挙げられているんですよね?」

草彅「はい。なんかパパッと撮れるんで。あの、ダンススキルあるんで。
1回見ただけでだいたい左かな右かなって感じで(踊れる)。
それはなんかやっぱり培ったダンススキルを活かしてます。今でも」

ダンス動画の総再生回数は1700万回以上。
このダンススキルは、SMAP結成当初の中学時代にその原点があるそうで…。
その当時のことについて香取慎吾さんが語りました。
当時香取慎吾さん11歳(小学6年生)。草彅剛さん13歳(中学生)。

 

香取
「あのー、ずっと踊って。お互いの家に泊まり歩いて。
夜中通り越して朝まで。ヘタしたら次の日の昼くらいまで

2人で振り付けをして、このパート僕。次のパートつよぽん。
1曲振付をして、2人で覚えて、練習して。
じゃあ頭から流すねって言って流して、2人で踊ってどちらかが間違えたら「もう1回頭から」。

1回も間違えないで終わるまで帰れませんみたいなので、昼ぐらいまでやったことがある。

ヘロヘロだし、間違えたら怒り合うし、しまいに朝になってるからおかしくなってきて大爆笑しながら。

でも今思えば、あれがホントに訓練にもなってる。もう何時間も踊り続けてるから。」

 

草彅さんと香取さんの絆「しんつよいいパターン」

男の子友達

SMAPのメンバーの中で年下だった2人は今も昔も特別な存在。
更にきずなが深まるきっかけとなった当時のエピソードがあります。

 

草彅
「なんか慎吾ちゃんは困った時いつもそばにいてくれて、何だろうね。
なんかこうリラックスさせてくれるというか。
なんか、2人でいる時間が長かったんですよ。あの、僕らいつも2人で

なんかね「しんつよいいパターン」っていう言葉があって。

慎吾と剛だったら別にいいだろうみたいな。
あの、なんとかなんだろうみたいな感じで。
2人でいつも「またしんつよいいパターンだよな、これ」って。

衣装のサスペンダーとかなかったりするんですよ。2人のヤツだけ。
残り(の人の)はあって。「俺たちのサスペンダーだけないな」とか。
これもしんつよいいパターンだな」とか。

撮影なんかもね、今ぱっと思い出したけど、緑山スタジオとかあったりとかして。
もうバスの時間が最終バス。で、結構あれ遠いんですよ駅。
で、(最終)バスの時間があと4分位なのに、「間に合う間に合う。お前ら行け」って言われて、結局行ったらバス無くて。

それからスケボーで2人で駅まで帰ったりとかして。
で、スケボーやりながら、「これもしんつよいいパターンだな」とか言いながら。

香取慎吾さんていうのは、僕には今までもこれからも、ずーっとそばにいてほしい人ですね。」

 

香取慎吾さんとの2人芝居(三谷幸喜脚本・演出)

舞台演技

草彅剛さん・香取慎吾さんとの2人芝居。

三谷幸喜さん脚本・演出の「burst!~危険なふたり~」。

2015年に初演。そして2022年に再演されました。

2人が電話のやり取りのみで爆弾を処理するという作品です。

 

2人芝居をやるきっかけ

林「それは何がきっかけで出演されることになったんですか?」

草彅
「慎吾ちゃんとラジオをやってまして。来年30年なんですよ。

舞台が一番好きなんですよ。演じる仕事で。
で、その一番好きな舞台で、慎吾ちゃんと2人芝居やりたいなみたいな。
まあ、雑談ですよね。2人のラジオなんで。

「慎吾ちゃんさ、三谷さんほらいっぱい仕事してるから、三谷さん(脚本)書いてくれないかな?」みたいに言ったら、たまたまそれをファンの方が三谷さんにラジオでそんなこと言ってましたよって言ったら、本当に三谷さんが書いてくれたの。

これがもう本当に名作なんですよ。
もう林先生ぜひともみてください。予定はないんですけど、公演の。
もう、名作なんですよ。
もう1秒たりとも飽きさせない名作の舞台が生まれてしまって。
あの、初演があって再演もやったんですけど、これはね。再再演も僕はやるべきじゃないかと思ってて。」

と語りました。
舞台がかなり見ごたえのある素晴らしいものだったことが伝わってきます。

 

三谷さんから香取さんへの連絡は、草彅さんを経由する

草彅
「三谷さん。慎吾ちゃんとめちゃめちゃ仲良しというか。仲良しと言うとまた言葉が違うんですけど、仕事でね。僕より交流昔からあって古いのに、慎吾ちゃんの電話番号を知らなくて、僕の電話番号知って、慎吾ちゃんと連絡する時、僕にわざわざ経由してかける。もうすごい面倒くさくて。

もうなんで僕がこれことづけしないといけないのかなって思って。あんだけ昔から、それこそ大河とかもやってるのに、あの距離感って絶妙ですよね。なんかね。いつまで経っても距離が縮まらないっていうかね。ずーっとこのままっていう。」

と語りました。

ゲストでスタジオに来ていた中島健人さんが「慎吾くんて誰にも(連絡先)教えないからね」と言っていたので、香取慎吾さんは、仕事場の人には少しくらい親しくなっても電話番号を教えたりはしない、ある程度距離を保ってお付き合いする感じみたいですね。

 

草彅剛さんのイメージについて「いい人じゃない(笑)」

大きな荷物

香取
「いい人の印象あるじゃないですか。いい人じゃないよ(笑)。
いいひとだけど、変わった人ですよ。困った人ですよ。
今の困った人は、荷物が多いんですよ。困ってますよ みんな(ハハハハ笑)。
こんなだよ。
まあ、本人に聞いてみてください」

 

林「何を持って行かれるんですか?」

草彅
「台本とか。あと…カバンの中にまたカバンが入ってたりするんで。
整理するのが下手くそで。とにかくなんか入れちゃえばいいなっていう。
すごいズボラなんですよ、僕。もう、1年前の台本とか出てきます。

あとね。ギターは必ずどこでも持って行くんですよ。ギターが大好きで。
なんかスイッチ入っちゃってるんですよね、何かねずーっとね。上手くなんなくて10年以上やってんのに、F(コード)が抑えられない(初心者の最初の難関)んです、まだ。あのね。家では押さえられるんですけど、ステージに立つとFが押さえられないんですよ、いまだに。

だからもう、すごいもうクッてなるわけ。
その悔しさがあって、僕は肌身離さずどこでも。」

林「第三者から見ればすごく努力されてるって見えるとは思うんですけど」

草彅
「あ、僕は努力しないですね。嫌なことやんないんで。だから、自分では全く努力してないんですよ。楽しいからやってる。」

と語りました。

ギターが得意だから常にギターを持ってるわけではなく、上手くならなくても大好きでギターを肌身離さず持っているというのが草彅さんらしい感じがします。

努力は好きではない。楽しいからやっているというのが、生き方としてとても素敵です。

 

全編韓国語の映画の主演 韓国語も楽しくてハマっていた

韓国の街並み

とにかく好きなことはとことん追求しないと気が済まない性格

そして、その好きがきっかけとなり、自身にとって当たり役となる作品に出会います。それが、2004年公開30歳の時出演した映画「ホテルビーナス」。

日本映画初の全編韓国語で撮影され、主演の草彅剛さんは2時間にわたり韓国語で演じきりました。

 

林「草彅さんと言えば韓国のイメージがありますが…」

草彅
ハマるとやるんですよ。もうこの当時もすごいハマってて
番組もあって(2001年~2010年「チョナン・カン」。草彅剛さんが韓国で有名になることを目指すバラエティー番組)。10年近くやってて。

で、韓国の俳優さん、本当にたくさん好きな方がいて、そういう方とたくさん対談させてもらって、ここもいろいろ2004年とか2006年とか、吸収できた時代でしたね。(全編韓国語でしたが)楽しかったですね。自分ではチャレンジするつもりもなくて、楽しくてやってるみたいな感じでしたね。

凝っちゃうとなんかね、自然にそれが身についていく習慣になるっていうか。

自分では全然努力してるつもりないんですよ。楽しいからやってるっていう感じです。」

好きなことなら続けられるという草彅さん。
楽しみながら習得した韓国語で出演したホテルビーナスは、第26回モスクワ国際映画祭で最優秀作品賞を受賞しました。

島崎和歌子さん
「ちょうど「チョナン・カン」をやってるときにお仕事が一緒で、もうすごいロケの間の移動中もずっと韓国語を勉強してて。あの当時って、歌もステージもいろんなことをやりながら、そこで語学を学ぶって相当勉強しないと」
と語りました。

 

つかこうへいさんの舞台「蒲田行進曲」に出演 人生に大きな影響

演劇

SMAPのメンバーが次々と主演を張る中、自分にはオファーが来ないと焦りや劣等感に襲われた時期があった。

SMAPメンバー主演作(1996年まで)

稲垣吾郎 1992年 「二十歳の約束」 1994年「東京大学物語」1995年「最高の恋人」

中居正広 1995年「味いちもんめ」1996年「ナニワ金融道」1996年「勝利の女神」

木村拓哉 1996年「ロングバケーション」

香取慎吾 1996年「透明人間」1996年「ドク」

草彅剛 0本

「蒲田行進曲」での役が自分と重なった


「ブレイクするきっかけになったと思う出来事は、今振り返ると何だったんでしょうね?」

草彅
「やっぱ、たくさんの恩師と巡り会えたことがブレイクのきっかけになってるのかなと。

1999年25歳のとき舞台「蒲田行進曲」で出会ったつかこうへい先生の出会いっていうのもやっぱりとても僕がたくさんの活動をするきっかけになりましたね。」

林「演技の面で大きな影響が?」

草彅
「そうですね。演技の扉を開花させてくれたというか。後にも先にもない舞台。そんな舞台でしたね、蒲田行進曲は。」

 

そのとき、演出家つかこうへいさんが放ったあるひと言が、俳優そして人間草彅剛さんの人生をも大きく変えるきっかけとなりました。

それが…

つかこうへい
君の中には魔物がいる。そこがすごくいい。感情の扉を開こう

 

草彅
「あのー、売れない役者の話で。そういう役で。ヤスという。
どこか自分の気持ちとヤスという役に…売れない役者の中に重なる部分があって。

なんかそれをつか先生が上手く…口立てとかで、台本ほぼなくて。口立てで進行して演出を付けてくださるので。なんか自分の気持ちとリンクしたものがあって。そのヤスというフィルターを通して自分の気持ちをすべて舞台に注ぎ込めた。」

足りなかったり不完全なところが自分の個性

草彅
「今もでもそういう所が繋がってきてて。僕はすごい未完成なんですよ。あの、完全な人なんていないわけで。

だけど、ヤスを演じたことによって、そのなんか「足りないものとか不完全なものの中に、その人なりの個性とか輝きがあるんだよ」っていう風につか先生が教えてくれた。そういう役で。

特に若い時はそうですけど、完璧なものを(求める)。隣見たら自分よりかかっこよくて、優れてて、歌が上手かったり、踊りが上手かったり、容姿が良かったり。比べがちだけど、なんかこの役をやったことによって、「足りなかったり不完全なところが自分の個性になっていくんじゃないかな」って思わせてくれた。

やっぱり、演技してても完ぺきな演技なんてないと思うんですよ。なんかそれは、どれもその時の一期一会で。

気持ち的にも楽になるし、何か生きる上でも、不完全なものっていいんじゃないかなって思ったりする


「じゃあ、つかさんから学んだことは、演技だけじゃなく生き方の軸にも大きな影響があるってことですね」

草彅「そうですね。」

周囲と比べて完璧でない自分にコンプレックスを抱いていたが、今はその不完全さを自身の個性と捉えている。だからこそ、草彅剛はいつも自然体でいられるようになった

つかこうへいさんは後に「蒲田行進曲」を再演する際、別の俳優にヤス役を託すことについて、日記にこう記しています。

俺たちの前には草彅剛のヤスが山のように立ちはだかっている。勝てるわけがないのは承知だ

 

まとめ

草彅剛さん。年齢を重ねたこともあるかと思いますが、言葉に深みがあり、とても心に響きました。

香取慎吾さんとの絆も私が想像していたよりも深いもので、素敵だなと思いました。

前編と後編を通して、真面目な努力家だけど、自然体。頑張っているのではなく、好きだから、楽しいからやっている。好きだから、努力し、どんどん素敵な俳優になっていく。そして、人としてもたくさんの恩師から応援され、支えられ、学び、成長されている。

若い時の草彅さんも素敵でしたが、年齢を重ねられ、人としてもとても深みが出ていて、人間力もつき、さらに魅力的な方になったなと感じました。

これからの活躍がとても楽しみです。

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