【ボクらの時代】橋本淳(38)×黒木華(35)×脚本家・演出家 加藤拓也(31)(2025年8月24日放送)

橋本淳さんと黒木華さんが共演する舞台「ここが海」(2025年9月~10月)。
妻から性別を変更したいと告げられた家族の物語。
2年半の準備期間をかけた意欲作です。
作・演出を手掛けるのは、加藤拓也さん(31歳)。
17歳の時にラジオの構成作家を始め、イタリアで映像を学ぶなどキャリアを重ね、20歳で劇団「た組」を旗揚げ
演劇界の芥川賞と言われる岸田國士戯曲賞・読売演劇大賞など数々の演劇賞を受賞し、市川森一脚本賞などドラマの脚本でも賞を獲得するなど今最も注目を集める作り手の1人。

 

3人の出会い

橋本淳「え、2人の出会いは…」

加藤拓也「いや、橋本さんですよ。その橋本さんのご紹介で、まあ初めて演劇ご一緒させていただいて」

橋本淳「3年前にやった『もはやしずか』っていう舞台が2人の初対面ではある?」

黒木・加藤「そうですね」

黒木華
初対面の時、私ホントに喋らなくなるんで
なんかあっちゃん(橋本さん)がいてくれるって言ってたのに、すごい遅れてきて。(笑)
で、2人でなんか「あっ…あっ…」みたいな」

加藤拓也「そうだ。橋本さんと黒木さんはいつ?」

黒木華「私たちたぶん『飛龍伝』だと思います」

加藤拓也「『飛龍伝』っていう舞台をたぶん本多劇場・・・」

加藤拓也「何年前ですか?」

橋本淳「10年は…」

黒木華「経ってますよね」

橋本淳「たつ たつ。あとご飯もね。合間合間で」

黒木華「何か話しやすくて、めちゃくちゃ。
でなんか、私が地方でちょっとへこんだ時とかに電話して。
こういう状況なんだけどどう思う?っていうのを優しくいつも聞いてくれるっていう」

橋本淳「1回俺何かの作品の打ち上げ中にかかってきて。
ちょっとしんどいな、ちょっと疲れちゃったなっていう時に、2時間ぐらい電話した気がする。打ち上げ抜けて」

黒木華「「ごめんね」って言いながら、ずっと話すっていう」

橋本淳「そういうのが結構あったりとか」

黒木華「頼りになる」

橋本淳「こうやってお酒なしで話すのって…」

加藤拓也「そうですね。まあ3人だとご飯とかも行くじゃないですか」

橋本淳「でも俺、加藤君とこうやって対面で座ることがあんまない気が…」

加藤拓也「ないかも」

橋本淳「ムズムズしますね」

黒木華「ムズムズしますね~」

加藤拓也「まあハッキリ言って、照れてますね」(笑)

 

今の仕事を始めたきっかけ

加藤拓也さん「ブログを書いていた。演劇をやっている友人に誘われて演劇を始めた」

橋本淳「何で始めたんですか?作・演出を」

加藤拓也「学生ん時は、野球選手になれるんだったら、なりたかったんですけど。なれないから。
野球をやってたのをやめて。
で、野球をやってる時からずっと続けてたブログの延長線上に、まあラジオを作ったりみたいなことが自分の中にあって
その中でシェアハウスをしている演劇をやっている友人がいて。
その人たちに誘われたから演劇を始めたっていう流れがあって。
まあ、そのシェアハウスの人たちがいなかったら、俺演劇をやってなかったと思いますね」

橋本淳「その前は別に物語とかは書いてなかった?」

加藤拓也「物語…まあ、ブログ自体が結構ウソのブログ書いてたから。
なんか日記だけど、ちょっと嘘ついてる日記を書いてたんで。
まあ、それを物語と呼ぶなら、物語ですけどねって感じです」

黒木華「どうやって書いてるんですか?なんか…」

橋本淳「着眼点というか」

加藤拓也「割とやっぱその個人的な悩みが生まれたときに、書くエネルギーになることっていうのはありますね」

橋本淳「でもなんか、最初の出会った時は、わりとその加藤君が経験したことだったりとか、何かパーソナルな部分が多かったんだけど。
段々やっぱこの数年…6年ぐらいもう一緒に…」

加藤拓也「そうですね。6年…6年か」

橋本淳「だんだんこう変遷が、夫婦の話になったり。子供の話になったり。
結婚されてないから。その自分事じゃないことも書きだしてるから。
これどこで知り得た情報なのかなっていうのはあるから」

加藤拓也「まあそれ、みんな頑張って勉強してる…」(笑)

橋本淳「そうやって教えてくれないからな」

黒木華「結構のらりくらりといつもね」

 

黒木華さん「NODA・MAPのオーディションから…高校で演劇をやっていた」

橋本淳「そうなんだよね。え、おはるさんは、きっかけ…スタートの」

黒木華「デビュー…でもデビューはやっぱり野田(秀樹)さんですね。
野田秀樹さんのNODA・MAPのオーディションが大阪で会ったんですよ。
ザ・キャラクターっていう作品のアンサンブルのオーディションに行って受かって
で、その『ザ・キャラクター』っていう作品に出てる最中に、『表に出ろいっ!』っていう野田さんと勘三郎さんの娘役のオーディションを野田さんが「出れば?」って言ってくれて
「あ、じゃあ出ます」って言って、受かってっていう。
まあ、もともと高校演劇をやってたっていうのもあるんですけど」

加藤拓也「大阪の高校で?」

黒木華「そうです」

加藤拓也「同郷なんですもんね、僕とね」

橋本淳「2人とも関西ですからね」

加藤拓也「そうそう。でもあんまり喋っててもね、関西弁でないですよね」

黒木華「私たちでないですよね」

橋本淳「出てます!すごい出てます!
本読みでまだ言ってないけど、やっぱちょっとイントネーションが…」

加藤拓也「ちょっと後でそここっそり教えてもらって」

 

橋本淳さん「事務所のオーディションを受けこの世界へ。次第に演劇に興味を持ち…」

黒木華「淳(あつし)さんは?」

橋本淳「デビューですか?でも僕最初はデビュー前のオーディション…事務所のオーディションをいくつか受けさせてもらって。
唯一受かったのが今の会社で。
WATER BOYS2』っていうドラマでシンクロやって。
で、戦隊モノのいわゆるヒーローって言われるもの『マジレンジャー』っていうのをやってみたいな。
最初映像スタートでした」

加藤拓也「いつからそんな舞台増えたんですか?
なんか僕が橋本さん知ったのって、正直舞台で知ったから。
朝ドラの『ちりとてちん』っていうやつをやった時に、周りがホントに舞台役者ばっかりで。
それこそ松重(豊)さんだったりとかキムラ緑子さんだったりとか。
その人たちの舞台をやっぱ観てるうちに、演劇ってこんな面白いんだなと思って。
事務所に最初「やりたい」って言ったら、「いやいや。あんたに今演劇やらせらんない」からみたいなことで止められて
で、僕はやりたいから自分で勝手に飲み屋行って履歴書渡したりとか。オーディション受けたりとか。
勝手に事務所に内緒で事務所の名前出さずに受けて

加藤拓也「へぇ~。オーディション受けて?」

橋本淳「オーディション受けて」

加藤拓也「超問題児じゃないですか」(笑)

橋本淳「そっから20代はずーっと演劇が。年に7本とか。」

加藤拓也「年7本って結構大変じゃないですか?」

 

演技について

橋本淳「それこそ、おはるさんだって色んなこうかぶったりするじゃない?切替とかどうしてんの?入り込むとか憑依して抜けないみたいな」

黒木華「憑依なんかしなくない?(笑)ある?だって」

橋本淳「言ってみたいですね。ちょっと役が抜けなくてって」

黒木華「でもちょっとだけあの~…ガラ悪い役とかそういうものの時は、普段ちょっと…なんかちょっと多少悪くなってるって言われることはありますね」

橋本淳「え、加藤君の演出はおはるさん的にはどういうタイプに映ってるんですか?役者の導き方」

黒木華「でも、併走してくれるっていってたから。なんかそんなイメージがあんまりなかったんです演出家って」

加藤拓也「もしかしたら探り探りやってるかもしれない時に、僕が何かを決めつけて言うことで、いいことも起きないかもしれないから。
ほんとアシスタントっていうか。演技に関しては
あと橋本さんとかだと、言われ過ぎたら、もう「うぅ~…あ~…」ってなっちゃうから。そう」

橋本淳「笑ってるけど」

黒木華「(笑)そう。大好きなの、その顔」

加藤拓也「「うぅ…分かんない~」って言い始めちゃうから。しかもずっと疲れてるし」

橋本淳「それすっごい言われるんですよ。」

加藤拓也「ずっと疲れてるんすよ。なんで?」

橋本淳「いや疲れてないんだけど。眠いの?疲れてるの?やる気ないの?はすごい言われる

加藤拓也「何か稽古場に行く道とかで、たまに橋本さん見るんですよ。
曲がり過ぎなんですよ。こう腰が。フォルム」

橋本淳「でも俺も、加藤君とかを遠くで稽古場行く時見ると、首こう…ずっとこうだ(下向いてる)から」

加藤拓也「下見ちゃうんすよ。」

橋下徹「そう。下見て歩いてる。ちょっとね、そういうとこは、似てる空気なのかもしれない」

加藤拓也「その眠いのはペット…犬飼い始めましたもんね」

橋本淳「そうね。それもうどこにも言ってないんだけど。」

加藤拓也「犬飼った時、ちょっと病んでましたよね。」

黒木華「病んでましたよ。すごいもう、おじいちゃんみたいになってましたもん顔が」(笑)

橋本淳「子育てってこんなノイローゼになるぐらい大変なんだっていうのが…」

黒木華「そう。いつもすっごい眠そうだもん」

橋本淳「寝ているんすよ。僕はどこでも寝れるんで。」

黒木華「何かご一緒した時にいつも寝てる写真を撮ってたから。すごいフォルダーに橋本さんの寝てる…色んなとこで寝てる写真がある」

加藤拓也「今度ちょっとアルバムに上げてもらっていい?」

黒木華「送ります、はい」

橋本淳「(笑)」

 

プライベート

インドアORアウトドア?

橋本淳「例えば休みがあった時に、家から出るタイプか家の中にいるタイプか。これどうですか?」

黒木華「う~ん。インドア…ですかね~。なんか家好きですね」

橋本淳「家で何してるんですか?」

黒木華「映画観たり、お笑いとかも見ますね。好きですよね?お笑い」

加藤拓也「僕好きですね」

橋本淳「好きな芸人さん」

黒木華「えっ!?でも、いっぱいいますよ、やっぱり。バナナマンさんシソンヌさん。ラランドさんも面白いし」

加藤拓也「YouTubeとか見てます?」

黒木華「あの~ラジオとか。でもYouTubeも面白いですよね。どっちですか?インドア アウトドア」

橋本淳「休みの日数によるかなっていう。2日あったら、1日目外出て。2日目の仕事の前日は家にずっとこもるタイプ。うん」

 

山派or海派?

黒木華「山派ですか?海派ですか?」

橋本淳「いや難しいな!それ」

黒木華「私もう海なんですよ」

橋本淳「俺山だな」

加藤拓也「山…でも虫大丈夫っすか?」

橋本淳「虫そんな得意じゃないけど。山まで行ったら、平気になる感じ。もう、もう処理しきれない量がいるじゃない」

 

苦手なもの…切り干し大根、お化け、シャンプー

黒木華「確かに。苦手なものあります?そういう虫とか」

橋本淳「切り干し大根

黒木華「えっ!?なんで?」

橋本淳「何かずっと子どもの頃から食べれないというか」

加藤拓也「へ~。普通の大根は大丈夫なんですか?」

橋本淳「大根大好き。切って干されるともうダメ。何でだろう?
でもお弁当で…よくそのロケ弁とかでいらっしゃるじゃない。
で、その汁がさ、横の方にこう侵入してくる。
もうここまでダメになっちゃうから」

黒木華「汁もダメなんですか?」

橋本淳「あの味が…。だからそれを突き出しで出される店は、ちょっと二度と行きたくないかな…。」

加藤拓也「極端ですね」

橋本淳「あれだけダメなの」

加藤拓也「そこまでか…。極端で怖いなって思いました」(笑)

黒木華「ちょっと怖かったです」

橋本淳「僕が?そっか」

黒木華「私お化けが苦手なんですけど。怖い」

橋本淳「見た事は?」

黒木華「ちっちゃーい時はあります。はい。
友達の家から車で帰ってて。お母さんと一緒に行って、家族ぐるみで帰ってたんです。
で、ふわっって見た時に、もうすっごいでかいおじいちゃんの顔だけが浮かんでて。火の玉と」(笑)

橋本淳「俺シャンプーが怖い。何かこうやってやって。鏡がここにあって。
開けたときに何かいるんじゃないかって思うから、ずっと上向いてシャンプー」

黒木華「私は普通にシャンプーできるよ」

加藤拓也「もしその結婚するとしたら、動物好きな方がいいですか?お相手は」

橋本淳「お相手…もちろんそれはそうっすね」

 

好きなタイプ

価値観が違う人、怒らない人

黒木華「タイプとかあるんですか?」

橋本淳「好きな方のですか?(笑)」

加藤拓也「なんで照れてるの?」

橋本淳「いや。今までお付き合いしたことのある方をちょっと考えて。
あんまでも、自分と価値観が違う人が多いかもしれないです。
だから趣味とか例えば好きな映画っていうのが一緒じゃない人
っていう方の方が楽しいかな。どうっすか?」

黒木華「好きなタイプですか?怒らない人がいいです。怒られたくないです

橋本淳「ケンカとかは、する前に相手が「ごめんね」って言うタイプが。優しい人みたいな」

黒木華「でもケンカそんなしな…したことあんまないかもしれないですね。そんな。それは別に恋人じゃないなくても…」

橋本淳「急にどんどん声ちっちゃくなって」

黒木華「(笑)恥ずかしいからやっぱり。
でも何かこう、学生の時とかデートされてました?制服デートみたいな」

加藤拓也「デートっていうか、制服で遊びに行くっていうのはありましたけどね。」

黒木華「そういうのメッチャ憧れてました」

橋本淳「してなかった?」

黒木華「してなかったです」

橋本淳「学生の頃の…その制服着てた学生の時はお付き合いは?」

黒木華「お付き合いはしてなかったです」

橋本淳「あっ!そうなんだ…」

黒木華「そうです」

 

学生時代のキャラ

黒木華「陰キャだった…ずっと本を読んでいた」

橋本淳「どんな学生だったんですか?おはるさんの学生時代の」

黒木華「いや私はもう本当にあれですよ。いわゆる陰キャみたいな。そんなやつですよ(笑)」

加藤拓也「じゃあハマってたこととかないんですか?」

黒木華「ずーっと本読んでました。こうやって。小説とかも読んでましたし、漫画も読んでましたね。
だから友達いるのかな?って親には思われてたみたいですけど。
いましたよ、ちゃんと」

橋本淳「デート…付き合う前のデートもなかった?」

黒木華「いや~…どうだったかな?してなか…意識してなかったのかもしれない。もしかしたらあったかもしれないけど」

加藤拓也「デートってどっからがその橋本さんはデートだって言ってらっしゃるんですか?今」

橋本淳「だから、高校生とか中学生の時に考えるデート…。まあ、花火とか。だからイベントだよね、たぶん。
でも一緒に帰ることがもうドキドキしてた
当時お付き合い…まあ中学生かな、とかで。
なんかじゃあお付き合いしましょうってなって。学校から一緒に帰る道…」

黒木華「「付き合ってください」って言うんですか?」

橋本淳「言いました 言いましたよ。なんか茶化すから、みんな。こういう(加藤さんみたいな)タイプが。
後ろからついてきて。「淳何やってんだよ?」みたいに言われるのも、今考えると何かたのしいですね」

黒木華「青春」

加藤拓也「恋バナとか僕らしないっすもんね。1回もしたことないかも」

 

学生時代にハマってた事

橋本淳「小学1年からサッカー」

加藤拓也「橋本さん学生時代にハマってたこととかないんですか?」

橋本淳「ハマってたこと…でも僕はずっと小学校1年からサッカーをやってたんで。
ずっとスポーツ漬け…」

加藤拓也「今でもフットサルやってんすか?」

橋本淳「いやもう最近はないね。最近はないかな。
むか~し、中村倫也とフットサルやろうっていう時に、俺がやっぱその全然運動してなかったから「イカみたいになってたよ」っていうのを言われて。
なんか、なんかすごい動きをしてた。バランスもとれないし。」

黒木華「あ~手足長いもんね」

加藤拓也「意外と橋本さんって、アクションとかもね、できるんですもんね」

橋本淳「僕アクション出来ますね」

加藤拓也「そうですよね。知らなかった」

橋本淳「戦隊ものやってたので」

黒木華「バク転とかできるんですか?」

橋本淳「バク転も、でもやらされました。トランポリン踏んで前宙とか。
落っこちとか。6mぐらいあったら、落っこちれたりとか。
でもおはるさん殺陣とか?」

 

黒木華「殺陣…剣道を習っていた」

黒木華「私…そうですね。大学の時とかにやっぱ習っては…殺陣とかは。はい。
あ、剣道習ってたんで。

加藤拓也「剣道の何に惹かれたんですか?」

黒木華「カッコイイ。ソードカッコイイじゃないですか。」

橋本淳「でもあの声出すの?あ~!みたいな」

黒木華「出す出す出す。「めーん!」って言ってたよ」

橋本淳「イメージないな」

黒木華「そう。結構色々やってたんですよ。習い事
剣道でしょ。トランポリンでしょ。水泳でしょ。空手でしょ。
ピアノも習ってましたし。バレーボールもやってたし、バレエも習ってたし。
でもやっぱすぐやめちゃうんですけど。」

 

演劇にハマったきっかけ

母が褒めてくれる&自分の言葉で喋らなくていい

橋本淳「すぐやめちゃう!?じゃあ、演劇にハマったきっかけっていうか。何でやりたいと思ったの?」

黒木華「まあ、もともとやっぱ幼稚園の時とかに、こうお遊戯会とかあるじゃないですか。
それをやっぱちょっと母とか褒めてくれるじゃないですか。
それでなんかお遊戯みたいなことが好きになったっていうベースがあって。
あとなんだろう…なんかセリフがあるじゃないですか。
自分の言葉で喋らなくていいから。それがすごい楽だったんですよ。何かそれで…(笑)」

橋本淳「その時から、もうあんま喋りたくなかったんだ(笑)」

黒木華「なんか自信が無いんですよね。たぶんね。そう。それがきっかけです。
一応演劇の強豪校だったんで」

橋本淳「主役とかやるの?そういう時って」

黒木華「主役もやってましたね。うん」

橋本淳「先生とかの演出受けてて。なんか違うなみたいなのなかったの?当時」

黒木華「違うなとかないよ。だって…」

橋本淳「一生懸命言われたことをやるみたいな?」

黒木華「そうそう。(ハートが)熱かったから、その時は。(笑)
熱い女だったんでその時は」

橋本淳「部活になるもんね」

黒木華「そうそう。「やろうぜ!」みたいな。前のめり(笑)」

加藤拓也「「おっきい声出そうぜ」」

黒木華「そう。で、「観に来てくれてる人より先に泣くな」だけずっと言われてた」

橋本淳「でもそれプロの世界でも結構言われるよね」

黒木華「言われるね」

橋本淳「うん。先に泣くなとか。」

黒木華「涙出る?出るタイプ?ちゃんと泣けるタイプ?」

橋本淳「泣けない時もあった」

黒木華「あるよね」

橋本淳「うん。映像でドライリハってその最初にやるリハで泣いちゃって。本番ではもうカラッカラになってる時とか」

黒木華「周りもね、気ぃ使ってくれてる感じ分かりますしね、なんか」

橋本淳「そうなんか気持ち作ってくれる。(スタッフが)「黒木さん涙待ちです」みたいな。
あれすごい嫌。「今感情作ってます。あ、黒木さんいい時に始めてください」」

黒木華「それ「いいとき」やだ。すごく嫌です。いい時なんて来ないじゃん。
いい時なんて来ないじゃん。」

橋本淳「で、みんな待ってるしね」

黒木華「そうそうそう。あれ居たたまれないですよね。」

橋本淳「出ます?その泣くシーンとかカットとか」

黒木華「一応書いてたらやるけど。やっぱりね、人間ですから。あ、もう無理!っていうときありますやっぱり」

 

壁にぶつかった時

加藤拓也「スランプになり、書くのに時間がかかる」

橋本淳「もう書けない!みたいな時はあったの?今まで」

加藤拓也「まあ書けないっていうか、毎回でもやっぱしんどいですよ。
そんななんかその~しんどくないことはなくて。
だからそのやっぱ書くの時間かかっちゃうから。
スランプっていうか…はい。」

橋本淳「じゃあその何か感じたときに、やっぱやめたいなと思った時は?」

加藤拓也「やめたいまではいかないけど。でも、いったん置いとこうとはなっちゃうかも。
もう1回忘れて、別のことやろうかなみたいな」

橋本淳「おはるさんはある?」

 

黒木華「自分のできること以上を求められる」

黒木華「あります。27ぐらいの時に。やっぱもともと演劇は好きで。お芝居が好きで。好きなことをやってたから。
自分がやりたかったこととかお芝居とか。そのでも仕事でやらなくちゃいけないこととか。
あと自分のこの…何て言うんですか。
うーん…自分が出来ることが、より以上のことを求められたりもするじゃないですか。
でもこう200でやっぱ出さないといけないけど。
自分の中でスキルがもう100しかないから。
この100をどうやって埋めたらいいのかも分からないしってなった時に、なんかもう好きかどうかが分かんなくなってしまって。お芝居を。

加藤拓也「その時橋本さんに電話しました?」

黒木華「あ、その時はしてない」

橋本淳「そういう時はやっぱ頼られないから」(笑)

加藤拓也「本気の時はダメなんだ」

橋本淳「本気の時はやっぱちょっと…。軽い悩みの時じゃないと、僕のとこには来ない。
それ受け取っても、この球どうしようみたいになっちゃうから」

黒木華「受け止めきれないよね。そうですよね」

橋本淳「「頑張ろう!」しか言えない」

黒木華「そう。そうですね。
まあ、その時になんかまあ母とかがやっぱり、「死なないから」って言って。いつも言ってくれるんですよ。
「そんななんか…何かあっても死ぬ事はないから。
とりあえず、まあもしホントにやだったら帰ってくればいいし」って言ってくれて。
その時に、「あ、ちょっとまだ帰れないな」って思って、何か乗り越えたっていうのもある。
頑張り過ぎないって思うように…。思うようになってったのはありますかね。

 

橋本淳「毎回辞めたいと思っている…高橋一生さんの一言で気持ちが楽に」

黒木華「あります?やめたいって」

橋本淳「え、毎回思ってます」

黒木華「毎回!?」

橋本淳「毎回。毎回しんどいなって。そのクランクインとか稽古初日とか顔合わせの日とかの前に1人で台本と向き合ってて。いざこれを披露しなきゃいけない。いろんなプロの方たちが見てる前でっていう時は、毎回やだなとか…。やめたいな」

加藤拓也「ホントに?」

橋本淳「思う想う。ホントにつらいな…。思いますよ」

加藤拓也「カッコつけてんじゃないっすか?」

橋本淳「いや、ホントにしんどいんすよ。だから何か…うーん。
出来上がったもの見たときもそうだし。「あ、向いてないな」とか。
でも何かどっかで救われる部分もあって。
だからおはるさんさっき言ったみたいにその120…200%を求められるっていうのが特にやっぱきついなと思ってたのが、20代の頃で。
でもそのぐらいの時に高橋一生君と共演したことがあって。
それやっぱ一生君に言われたのが「80%でいいんだよ」って言われて。
そのやっぱ「100とか120出すと、その時はいいかもしんないけど、どっかでひずみが出るから、無理した分だけ。
淳君がそこでオファーされた時点で、淳君の今現在の姿を求められてるから。
だから別にそこで無理やり背伸びする部分はいらないことだから、8割ぐらいのリラックスした状態でのっければ大丈夫だから
って言われてからすごい楽になって。
だから、30代とかはもう全然。
仕事一番って思ってたものが、生活の方が先にきて。で、その後に仕事になったマインドになってから、すごい。
前よりやめたいなって思うのは減ってきたかなっていうのは。
でも30代になってから、だいぶ楽になったって言ってたもんね」

黒木華「なんかね。なんか楽ですね。メチャクチャ適当になったのかもしんないんですけど」

橋本淳「他の人と比べなくなったっていうのもあるかもしれない」

 

最後に…

橋本淳「30代になりましたもんね」

加藤拓也「30になりましたね。まあ(橋本さんと)出会った時やっぱ20代」

橋本淳「まだ若手の気鋭演出家って呼ばれてるけど。30代になったからもうそれは言わせないぞと…」

加藤拓也「そうですね。実際30代になって、自分の興味の範囲っていうのもやっぱ変わっていくし。
まあそういった意味では変わったなと思います。
ただ自分のフェチズムみたいなものは、あんまり変わんないのかもなっていう気はしてて。
まあ例えばじゃあすごく大きな声で、大きい身振り手振りで演劇を作ろうとはやっぱ思わないから。
そこは変わんない気がしますね」

黒木華「そろそろお時間です」

橋本淳「いや嬉しかったのは、加藤君があんな喋りたくないとか喋らないつったのに、すごい…」

加藤拓也「そんなこと言ってましたっけ?」

橋本淳「言ってました 言ってましたよ。お2人にお任せしますみたいな」

加藤拓也「(橋本さんが)なんか喋ることに飢えてるって稽古場で言ってたんで」

橋本淳「言ってないよ!(笑)」

加藤拓也「俺は喋りオオカミだって言ってたんで」

黒木華「時間が足らなかったですね」

橋本淳「帰ろ」

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